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オイラーの完全数定理の証明 📂整数論

オイラーの完全数定理の証明

定理 1

偶数 $n = 2^{p-1} (2^p - 1)$ が完全数ならば、$2^{p}-1$ はメルセンヌ素数だ。

説明

一見すると、ユークリッドの完全数公式の逆のように思えるが、偶数についてのみ言及されている点が異なる。

しかし、この定理は完全数についてほぼ全てを語っており、実際、奇数の完全数はまだ発見されていないからだ。現時点で奇数完全数について明らかにされている事実は、「存在するならば非常に大きいだろう」ということだけである。

証明

パート 1.

$n$ は完全数なので $2n = \sigma (n)$。

シグマ関数の性質:$\displaystyle \sigma (n) : = \sum_{d \mid n} d$ に対して、以下が成り立つ。

  • [1]: 素数 $p$ に対して $$\sigma ( p^k ) = {{p^{k+1} - 1} \over {p-1}}$$
  • [2]: $\gcd (n , m ) = 1$ ならば $$\sigma (nm) = \sigma (n) \sigma (m)$$

ある奇数 $m$ に対して $n = 2^{k} m$ とすると $$ \begin{align*} 2^{k+1} m =& 2n \\ =& \sigma (n) \\ =& \sigma (2^{k} m) \\ =& \sigma (2^{k} ) \sigma ( m) \\ =& (2^{k+1} - 1) \sigma (m) \end{align*} $$ 整理すると $(2^{k+1} - 1) \sigma (m) = 2^{k+1} m$ だが、$2^{k+1} -1$ は奇数なので $\sigma (m)$ は $2^{k+1}$ の倍数である。つまり、ある $c$ に対して以下が成り立つ。 $$ \begin{align*} \sigma (m) =& 2^{k+1} c \\ m =& (2^{k+1} - 1) c \end{align*} $$


パート 2.

$c \ge 1$ と仮定すると $$ \sigma (m) \ge 1 + c + m = 1 + c + (2^{k+1} -1) c = 1 + 2^{k+1}c $$ だが、$\sigma (m) = 2^{k+1}c$ であったため、$2^{k+1}c \ge 1 + 2^{k+1} c$ と矛盾し、したがって $c=1$ である。


パート 3.

$$ \sigma (m) = 2^{k+1} = (2^{k+1} - 1) + 1 = m+1 $$

$m$ が自分自身と $1$ のみを約数とするということは、$m$ が素数であることを意味する。$m = 2^{k+1} - 1$ なので、$m$ はメルセンヌ素数だ。


  1. Silverman. (2012). A Friendly Introduction to Number Theory (4th Edition): p106. ↩︎