カルノーの定理の証明
📂熱物理学カルノーの定理の証明
定理
カルノー機関よりも効率が高い機関は存在しない。
説明
カルノー機関を実際に実現することはできないけど、理論的な限界を意味する点で非常に意義がある。
証明
カルノー機関 Cより効率が高い機関 Eが存在すると仮定しよう。

Eは熱 Qh′を受け、Wだけの仕事をし、Cは熱 Qlと仕事 Wを受けて熱 Qhを出す。

二つの機関を一つと見る場合、E+Cは熱 Qh’−Qhを受けて熱 Ql’−Qlを出す。
熱力学の第一法則
dU=δQ+δW
熱力学の第一法則から、内部エネルギーの変化、つまり仕事は熱エネルギーの変化にのみ依存するから、次のようになる。
W=Qh’−Ql′=Qh−Ql
hとlにそれぞれ整理すると、次のようになる。
Qh’−Qh=Ql’−Ql
一方、CとEの効率はηC<ηEで、Cはカルノー機関なので、次のようになる。
ηC=1−QhQl
したがって、次の不等式が成立する。
QhW=QhQh−Ql=ηC<ηE=Qh’W
両端からWを消去し、逆数を取ると、次のようになる。
Qh’<Qh
つまり、Qh’−Qh<0であるが、Ql’−Ql=Qh’−Qhでもあったので、熱が低い方から高い方へ流れると分かる。

熱力学の第二法則
クラウジウス: 自ら冷たい側から熱い側へ熱を送る過程は存在しない。
これはクラウジウスの熱力学の第二法則に反するので、背理法により仮定が間違っていたことが分かる。従って、Eのようにカルノー機関より効率が高い機関は存在しない。
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