測度収束
📂測度論測度収束
定義
測度空間 (X,E,μ) が与えられているとしよう。
- 可測関数のシーケンス {fn:X→R}n∈N がある可測関数 f:X→R と全ての M>0 に対して次を満たすならば f に測度収束converge in measureすると言う。
n→∞limμ({x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M})=0
- シーケンス {fn:X→R}n∈N が全ての M>0 に対して次を満たすならば測度でコーシーCauchy in measureと言う。
n,m→∞limμ({x∈X:∣fm(x)−fn(x)∣≥M})=0
説明
確率論の表現では確率収束と言う。
収束の定義は我々が考える収束をきれいに説明する。しかしこのように複雑に測度まで動員して新しい収束を定義する理由は、収束というものが過度に難しい場合があるためだ。しかし、測度収束するならば、すなわち fn が f と十分に似ていない領域が μ で測定したとき 0 に収束する程度に妥協できるならば、より多くの議論を展開することができる。これは測度論でほとんど至る所でを考えることに似ている。
基本性質
一般的な測度空間
有限測度空間
μ が有限測度であるとしよう。
- [2-1]: fn が f に一様収束すれば点別収束する。
- [2-2]: fn が f に点別収束すればほとんど至る所で収束する。
- [2-3]: fn が f でほとんど至る所で収束すれば測度収束する。
証明
実際に[2-1]と[2-2]の証明では μ(X)<∞ を仮定しなくてもよいが、[2-3]を証明するためには有限測度空間という条件が必要だ。[2-1]〜[2-3]をまとめると次のようになる:
- 一様収束 ⟹ 点別収束 ⟹ ほとんど至る所で収束 ⟹μ(X)<∞ 測度収束
この事実は特に測度として定義される確率空間 (Ω,F,P) で、P が有限測度 P(Ω)=1<∞ として定義される点で非常に重要だ。
[1-1]
M>0 に対して
∫X∣fn−f∣pdμ≥∫{x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M}∣fn−f∣pdμ≥∫{x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M}Mpdμ≥Mpμ({x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M})
fn が f にLp 収束するので n→∞lim∫X∣fn−f∣pdμ=0 であり M>0 であるから
n→∞limμ({x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M})=0
でなければならない。したがって fn は f に測度収束する。
■
[1-2]
ほとんど一様収束:測度空間 (X,E,μ) が与えられたとしよう。
- 可測関数のシーケンス {fn}n∈N がある可測関数 f とそれぞれの δ>0 に対して μ(Eδ)<δ を満たす Eδ∈E が存在して X∖Eδ で fn が f に一様収束するならば fn は f にほとんど一様収束almost uniformly convergentすると言う。
- すべての δ>0 に対して μ(Eδ)<δ を満たす Eδ∈E が存在して X∖Eδ で fn が f に一様収束すれば fn をほとんど一様にコーシーシーケンスalmost uniformly Cauchy sequenceと言う。
fn が f にほとんど一様収束するということは、μ(E)=0 を満たすある E∈E 以外の X の全ての点 x でそれぞれの関数値 fn(x) が f(x) に収束することを意味する。任意の M>0 が与えられたとしても、
{x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M}⊂E
であり、測度の単調性によって常に
μ({x∈X:∣fn(x)−f(x)∣≥M})≤μ(E)=0
であるので、fn は f に測度収束する。
■
[2-1]
一様収束の定義によって全ての x∈X と全ての ε>0 に対して n≥N⟹∣fn(x)−f(x)∣<ε を満たす N∈N が存在するので fn は f に点別収束する。
■
[2-2]
fn が f に点別収束するということは、E=∅ 以外の X の全ての点 x でそれぞれの関数値 fn(x) が f(x) に収束することを意味する。この時 μ(∅)=0 であるので、fn は f にほとんど至る所で収束する。
■
[2-3]
エゴロフの定理: 測度空間 (X,E,μ) が与えられ、μ は有限測度であるとしよう。可測関数のシーケンス {fn:X→R}n∈N が X である可測関数 f にほとんど至る所で収束すれば、fn は f にほとんど一様収束し測度収束する。
エゴロフの定理の帰結として得られる。
■
参照