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根を含む分数の有理化を素早くする方法 📂レンマ

根を含む分数の有理化を素早くする方法

数式

$$ {{ x } \over { \sqrt{a} \pm \sqrt{b} }} = {{ x \left( \sqrt{a} \mp \sqrt{b} \right) } \over { a - b }} $$

説明

分数の有理化は概念的には簡単だが、分子と分母に複雑な項を掛けて整理するところで計算が多くなり、難しくなる。

しかし、上の公式を利用すれば、迅速かつ簡単に、計算ミスを最小限に抑えながら有理化を行うことができる。ポイントは、分母のルートを剥がすために$( \alpha^2 - \beta^2 )$の形を作るというアイデアだ。

たとえば、$\displaystyle {{2} \over { \sqrt{5} - 1 }}$を解く場合、分子と分母に$( \sqrt{5} +1 )$を掛ける必要があることを知っている。しかし、分母はとにかく$(5-1) = 4$になることは分かっているので、そのことをわざわざ書くのは労力と時間の無駄であり、分子には$( \sqrt{5} +1 )$が乗ることがわかっているので、ただ一発で書けば$\displaystyle {{2 ( \sqrt{5} + 1 )} \over { 4 } }$になる。これで約分すれば$\displaystyle {{ \sqrt{5} + 1 } \over { 2 } }$を得る。

これを利用すれば、$\displaystyle {{ \sqrt{2} - 1 } \over { \sqrt{2} + 1 }} = {{ \left( \sqrt{2} - 1 \right) \left( \sqrt{2} - 1 \right) } \over { 2 - 1 }} = 3 - 2 \sqrt{2}$のような計算を目分量でもできるようになる。

下の例題を直接解いて、いつでも公式を出せるように体になじませておこう。

例題

(1)

$\displaystyle {{ \sqrt{2} } \over { \sqrt{16} + \sqrt{8} }}$を有理化せよ。(可能なら暗算で)

解答

分子と分母で$\sqrt{2}$を約分すると $$\displaystyle {{ 1 } \over { \sqrt{8} + \sqrt{4} }} = {{ \sqrt{8} - \sqrt{4} } \over {4} } = {{ \sqrt{2} - 1 } \over {2} } $$

(2)

$\displaystyle {{4} \over { \sqrt{5} + \sqrt{7} }}$を有理化せよ。

ポストで紹介された公式は、分母の順序にかかわらず必ず効くが、負の数が出ると面倒なので項を整理した方がいい。

解答

$\displaystyle {{4} \over { \sqrt{5} + \sqrt{7} }} = {{4} \over { \sqrt{7} + \sqrt{5} }} = {{4 ( \sqrt{7} - \sqrt{5} ) } \over {2} } = 2 ( \sqrt{7} - \sqrt{5} )$

(3)

$$\displaystyle s := { { 1 } \over { 1 + \sqrt{2} }} + { { 1 } \over { \sqrt{2} + \sqrt{3} }} + \cdots + { { 1 } \over { \sqrt{8} + 3 }} + { { 1 } \over { 3 + \sqrt{10} }}$$とする。 $s$を求めよ。

分母の項がルートの中で$1$しか違わないので、有理化すると必ず$1$になり、分数形を心配する必要はない。

解答

例えば、 $$ { { 1 } \over { \sqrt{2} + \sqrt{3} }} = { { 1 } \over { \sqrt{3} + \sqrt{2} }} = \sqrt{3} - \sqrt{2} $$ このようにすべての項を分子に上げると、 $$ ( \sqrt{2} - 1 ) + ( \sqrt{3} - \sqrt{2} ) + \cdots + (\sqrt{10} - 3 ) $$ 項を整理すると$s = \sqrt{10} - 1$を得る。