数列空間(ℓp 空間)
📂バナッハ空間数列空間(ℓp 空間)
定義
1≤p<∞に対して、距離空間(ℓp,dp)は次のように定義される。
(i) 収束する数列の集合:
ℓp:=⎩⎨⎧{xn}n∈N⊂C(i=1∑∞∣xi∣p)p1<∞⎭⎬⎫
(ii) 距離関数:
dp(xn,yn):=(i=1∑∞∣xi−yi∣p)p1,{xn},{yn}∈ℓp
p=∞に対して、距離空間(ℓ∞,d∞)は次のように定義される。
(i)' 有界数列の集合:
ℓ∞:={{xn}n∈N i∈Nsup∣xi∣<∞}
(ii)' 距離関数:
d∞(xn,yn):=i∈Nsup∣xi−yi∣,{xn},{yn}∈ℓ∞
説明
ℓpは数列空間sequence spaceと呼ばれ、ℓpは[エルピー]と読む。ℓのTeXコードは\ell
だ。
ℓp空間がLp空間と異なる点は、数列か関数か、級数か積分か、という点だけだ。ヤングの不等式、コーシー・シュワルツの不等式、ヘルダーの不等式、ミンコフスキーの不等式や完全性も同様だ。事実が似ているので、証明方法もほとんど同じであるため、一方を十分に学んだなら、もう一方をわざわざする必要はない。
一方でℓ∞は、実際にはp→∞のときと同じで、証明可能であるため、別に定義する必要はない。ℓpやℓ∞のほとんどの性質を見ると、ほぼ同じであり、別に考える必要はない。
ただし、典型的な例外として可分性がある。
定理
1≤p0<∞とする。
- (a): ℓp0は可分空間である。
- (b): ℓ∞は不可分空間である。
この差はℓp0が収束性を条件としているのに対し、ℓ∞が有界性のみを条件としているために生じる。
証明
(a)
ストラテジー: 収束する数列は、i=i0∑∞aiを十分小さくするi0を常に選択できる。このi0を基準に有限部分と無限部分に分けた後、有限数列が必ず収束点になることを利用して、lp0が可分空間になるような部分集合を具体的に見つけ出す。
主張: M=ℓp0を満たす可算集合M⊂ℓp0が存在する。
特定のj0からはすべて0のみが繰り返される複素数列の集合
M:={{mj}∈ℓp0 ∣ mj∈Q+iQ,mj=0, j>j0, j0∈N}
を考えれば、Mは可算集合であり、M⊂ℓp0は当然成立するので、ℓp0⊂Mを示せば十分だ。lp0の定義により、すべての数列x:=(x1,x2,⋯)∈ℓp0は任意のε>0に対して
j>N∑∣xj∣p0p01<2ε
を満たすN∈Nが存在しなければならない。すると、各々のxに対して
(∣x1−m1∣p0+⋯+∣xN−mN∣p0)p01<2ε
を満たすm:=(m1,m2,…,mN,0,…)∈Mも存在するので
dp0(x,m)=j≤N∑∣xj−mj∣p0+j>N∑∣xj∣p0p01<2ε+2ε=ε
すべてのε>0に対してBdp0(x;ε)∩M=∅なのでx∈M
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(b)
ストラテジー: 扱いやすい有界関数eI∈ℓ∞とこれらに関する関数ψを定義し、それらの単射性を利用して基数を計算する。
主張 : M=ℓ∞を満たす可算集合M⊂ℓp0が存在しない。
M=ℓ∞を満たすすべてのM⊂ℓ∞が非可算であることを示せば十分だ。
パート1.
定義域I⊂Nを持つ関数eI:I→{0,1}を
eI(j):={10,j∈I,j∈(N∖I)
として定義しよう。例えばI=2N={2,4,6,⋯}の場合、関数値はe2N(1)=0、e2N(2)=1、e2N(3)=0、e2N(4)=1となる。
この関数たちの集合A:={eI ∣ I⊂N}を考えると、関数値が[0,1]を超えることがないので、A⊂ℓ∞が成り立つ。
パート2.
関数ϕ:P(N)→Aをϕ(I):=eIとして定義しよう。すると、I,I’⊂NがI=i′ならばϕ(I)=eI=eI’=ϕ(I’)であるため、ϕは単射であり、したがって
∣A∣≥∣P(N)∣=2ℵ0=ℵ1
任意のx∈ℓ∞=Mとε>0に対してBd∞(x;ε)∩M=∅なので
Bd∞(eI;31)∩M=∅
パート3.
Bd∞(eI;31)∩M=∅であるため
ψ(eI)∈(Bd∞[eI;31]∩M)
が成立するような関数ψ:A→Mを定義できる。ψが単射でないと仮定してみると、ψ(eI)=ψ(eI’)に対して
ψ(eI)=ψ(eI’)∈[Bd∞(eI;31)∩Bd∞(eI’;31)]
三角不等式により
1=d∞(eI,eI’)≤d∞(eI,ψ(eI))+d∞(ψ(eI),eI’)≤31+31=32
まとめると1≤32であり、これは矛盾なので、ψは単射である。またψ:A→Mが単射であるため、∣M∣≥∣A∣=ℵ1でありMは可算集合であることができない。
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