直交三角行列は冪零である
📂行列代数直交三角行列は冪零である
定理
n×n 上三角行列 Aは冪零行列である。
説明
逆は成り立たない。簡単な反例としてA=[1−11−1]の時、
A2=[1−11−1][1−11−1]=[0000]
証明方法は同じだから、上三角行列についてのみ説明する。
証明
数学的帰納法で証明する。
n=1の時、成り立つ。
Aを1×1上三角行列とする。
A=[0]
明らかに冪零である。
n=kの時成り立つと仮定すると、n=k+1の時も成り立つ。
Aを(k+1)×(k+1)上三角行列とする。するとk×k上三角行列Bについて、Aは以下のようなブロック行列として表される。
A=B[00⋯0]a1k+1a2k+1⋮akk+1[0]=[BO1kC[0]]
するとAの冪乗を計算してみると、以下のようになる。
A2A3⋮Ap+1=[BO1kC[0]][BO1kC[0]]=[B2O1kBC[0]]=[B2O1kBC[0]][BO1kC[0]]=[B3O1kB2C[0]]=[Bp+1O1kBpC[0]]
Bp=Okkとする。するとAp+1=Ok+1k+1だから、n=k+1の上三角行列は冪零である。
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