シンプレックスの定義
定義 1
- アフィン独立(../2315)な $v_{0}, v_{1} , \cdots , v_{n} \in \mathbb{R}^{n+1}$ の 凸包を $n$-シンプレックス$n$-simplex $\Delta^{n}$ と言い、ベクトル $v_{k}$ を 頂点vertexと言う。数式的には次のようになる。 $$ \Delta^{n} := \left\{ \sum_{k} t_{k} v_{k} : v_{k} \in \mathbb{R}^{n+1} , t_{k} \ge 0 , \sum_{k} t_{k} = 1 \right\} $$
- $\Delta^{n}$ から一つの頂点を取り除いてできる $n-1$-シンプレックス $\Delta^{n-1}$ を$\Delta^{n}$ の 面faceと言い、$\Delta^{n}$ の全ての面の合併を $\Delta^{n}$ の 境界boundaryと言って、$\partial \Delta^{n}$で表す。
- シンプレックスの内部 $\left( \Delta^{n} \right)^{\circ} := \Delta^{n} \setminus \partial \Delta^{n}$ を オープンシンプレックスopen Simplexと言う。
- アフィン独立(../2315)とは、$v_{1} - v_{0} , v_{2} - v_{0} , \cdots , v_{n} - v_{0}$ が線形独立であることを指す。
説明
シンプレックスは線形計画法や代数トポロジーなどで出会う概念で、その名が示す通り、単純さが特徴である。韓国語では 단체と呼ばれている。
$n$-シンプレックス
定義から、凸包と$n$-シンプレックスの違いは与えられたベクトルがアフィン独立(../2315)であることだけである。集合 $X$ の凸包とは異なり、正確に$v_{0}, v_{1} , \cdots , v_{n}$だけで表現され、そのようにのみ表現される図形であること。
$$ \left\{ \left( t_{0} , t_{1} , \cdots , t_{n} \right) \in \mathbb{R}^{n+1} : t_{k} \ge 0 , \sum_{k} t_{k} = 1 \right\} $$
この集合を 標準 $n$-シンプレックスstandard $n$-simplexと呼ぶ。ベクトル $v_{0}, v_{1} , \cdots , v_{n}$ の長さなどすべて無視してその組み合わせだけを表すので、標準化と呼ぶに相応しい。
例として、$\Delta^{n} , n = 3,2,1,0$ を見てみよう。
見る通り、$3$-シンプレックスは四面体、$2$-シンプレックスは三角形、$1$-シンプレックスは線分、$0$-シンプレックスはただの一つの点として表される。$2$-シンプレックスの三点が一直線上にあるなどの場合は、アフィン独立(../2315)の仮定から除外される。$n \ge 4$ の場合は、幾何学的に表すことはできないが、一般化には何の問題もない。
境界とオープンシンプレックス
本質的に、境界とオープンシンプレックスは、距離空間で語られた境界と内部と変わらないし、表記も同一だ。
例で、$3$-シンプレックスの四面体の面は$2$-シンプレックスの三角形として現れ、面表面という表現がぴったり合うことがわかるだろう。さらに、$1$-シンプレックスの線分の面も両端の$0$-シンプレックスの点だ。この面を集めたものを境界境界と呼ぶのも非常に合理的だ。
$\Delta^{3}$ の境界 $\partial \Delta^{3}$ とオープンシンプレックス $\left( \Delta^{3} \right)^{\circ}$ は、図のように直感的に理解しても問題ない。
Hatcher. (2002). Algebraic Topology: p103. ↩︎