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ニーマーク・サッカー分岐 📂動力学

ニーマーク・サッカー分岐

定義

簡単な定義

ネイマルク-サッカー分岐Neimark-Sacker bifurcation動力学系のパラメーター変化に従って固定点から不変閉曲線が生じたり消えたりする分岐である1

難しい定義

$n \ge 2$ としよう。 $$ \dot{x} \mapsto f \left( x , \alpha \right) \qquad , x \in \mathbb{R}^{n} , \alpha \in \mathbb{R}^{1} $$ 与えられた動力学系の $f$ が $x$ と $\alpha$ に対してスムーズだとしよう。 $\bar{x}$ がこのシステムのハイパーボリックな固定点であるとき、そのヤコビ行列 $D f \left( \bar{x} \right)$ の固有値のうち二つを$\lambda_{k_{1}}$、$\lambda_{k_{2}}$とする。 $0 < \theta < \pi$に対して$\lambda_{k_{1}, k_{2}} = \exp \left( \pm i \theta \right)$の存在性に関連した分岐をネイマルク-サッカー分岐と言う2

正規形

$$ \begin{align*} \theta =& \theta (\alpha) \\ a =& a (\alpha) \\ b =& b (\alpha) \\ d =& d (\alpha) = a + i b \\ c =& c (\alpha) = e^{i \theta} d (\alpha) \\ \mu =& \mu (\alpha) = \left( 1 + \alpha \right) e^{i \theta} \\ R_{\theta} =& \begin{bmatrix} \cos \theta & - \sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{bmatrix} \end{align*} $$ 以下で言及されるパラメーターは上記のように核心パラメーター $\alpha$ に従属する関数の形態だと仮定し、$R_{\theta}$は回転変換行列を示す。複素数 $z$が $z = x + iy$ または極座標系で$z = r e^{i \phi}$ のように表されるとしよう。ネイマルク-サッカー分岐はスーパークリティカルsupercriticalサブクリティカルsubcriticalの二つのタイプに分かれ、$a(0) < 0$ のときスーパークリティカル、$a(0) > 0$ のときサブクリティカルという。両タイプとも次の正規形を持つ。

直交座標系では $$ \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} \mapsto (1 + \alpha) R_{\theta} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} + \left( x^{2} + y^{2} \right) R_{\theta} \begin{bmatrix} a & -b \\ b & a \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} $$ 複素平面では $$ z \mapsto e^{i \theta} z \left( 1 + \alpha + d \left| z \right|^{2} \right) = \mu z + c z \left| z \right|^{2} $$

ダイアグラム

  • supercritical: $\alpha$ が次第に大きくなるとしよう。$\alpha \le 0$ では$z = 0$ がステーブルなノードであったが、$\alpha > 0$ で$z = 0$ がアンステーブルなノードに変わり、ステーブルな不変閉曲線が生じる。 alt text
  • subcritical: $\alpha$ が次第に小さくなるとしよう。$\alpha \ge 0$ では$z = 0$ がアンステーブルなノードであったが、$\alpha < 0$ で$z = 0$ がステーブルなノードに変わり、アンステーブルな不変閉曲線が生じる。 alt text

説明

ネイマルク-サッカー分岐は短く言えばトーラス分岐torus bifurcationとも呼ばれる分岐であり、簡単に見つけられる現象ではないが、まるで離散系におけるホップ分岐のようなものであるため、その名前くらいは覚えておいて損はない。

関連項目

  • ホップ分岐: 連続系におけるネイマルク-サッカー分岐と見なせる。

  1. http://www.scholarpedia.org/article/Neimark-Sacker_bifurcation ↩︎

  2. Kuznetsov. (1998). Elements of Applied Bifurcation Theory: p114. ↩︎