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力学における不変集合 📂動力学

力学における不変集合

定義1

空間$X$と関数$f,g : X \to X$について、ベクトル場とマップが次のように表現されるとする。 $$ \dot{x} = f(x) \\ x \mapsto g(x) $$ $S \subset X$としよう。

  • (V): $\forall x_{0} \in S$がすべての$t \in \mathbb{R}$に対して以下を満たす場合、ベクトル場$\dot{x}=f(x)$下での不変集合という。 $$ x(t,x_{0}) \in S $$
  • (M): $\forall x_{0} \in S$がすべての$n \in \mathbb{Z}$に対して以下を満たす場合、マップ$x \mapsto g(x)$下での不変集合という。 $$ g^{n} (x_{0}) \in S $$

不変集合は、条件に応じて以下のように呼ばれることもある。

  1. 不変集合$S$の時間が$t \ge 0$または$n \ge 0$までのみ考慮される場合、正不変集合と言い、逆に$t \le 0$または$n \le 0$までのみ考慮される場合、負不変集合と言う。
  2. 不変集合$S$が$C^{r}$で微分可能なマニホールドの構造を形成している場合、$C^{r}$不変マニホールドと言う。

説明

不変集合とは、過去であれ未来であれ、抜け出すことのできない集合のことを言う。過去に抜け出すことができないというのは、言い換えると、不変集合の外部から入ってくることが許されないということだ。すべての時間$\mathbb{R}$が考慮されるため、動的な「動き」よりも、既に決定された「空間」を想像する方が適切だ。

マニホールドが言及されるだけでなく、その空間自体の探求について言及される点で、位相数学との関連性を思い浮かべる人も多いだろう。歴史的にも動力学と位相数学は同じ根から出たからで、双方からよく知られているものが頻繁に登場するのは避けられない。「プアンカレ予想」でも有名なアンリ・プアンカレHenri Poincaréなど、両方で大きな業績を残した学者もいるが、当時はこれらが区別されていなかったため、両方で業績を残したと表現するのは適切ではないかもしれない。1900年代初頭は位相数学と動力学の始まりの時代であり、プアンカレのような学者によって発展した理論は、各自の関心に沿って分化したと見るべきだ。

与えられたシステムで不変集合の存在を見つける主要な方法には、ハダマードの方法リアプノフ-ペロンの方法の二つがあり、その安定性や微分可能性に対しても多くの関心が持たれている。


  1. Wiggins. (2003). Introduction to Applied Nonlinear Dynamical Systems and Chaos Second Edition(2nd Edition): p28. ↩︎