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等角写像は内角の大きさを保持する 📂複素解析

等角写像は内角の大きさを保持する

定理 1

複素領域 $\mathscr{R}$ で、関数 $f$ が 等角写像 で、曲線 $\mathscr{C}_{1}$ と $\mathscr{C}_{2}$ が点 $\alpha$ で会い、その内角を $\psi$ とする。

$\mathscr{C}_{1} ' $ と $\mathscr{C}_{2} ' $ が $\mathscr{C}_{1}$ と $\mathscr{C}_{2}$ を $f$ で送る像であれば、二つの曲線は $\beta = f ( \alpha )$ で会い、その内角もまた $\psi$ だ。

説明

解析学的に言葉は難しいけど、要するに図形が作る内角を等角写像が保つということ。もともと「等角写像」という名前自体がこの性質から来ている。

一方、角の大きさは保つけど符号が反対になるような写像を 等辺角写像isogonal mappingという。

証明

$f$ は $z = x + iy$ を $w = u + iv$ に送る 等角写像 だ。

$\mathscr{C}_{1}$ と $x$ 軸が作る内角の大きさを $\psi_{1}$、$\mathscr{C}_{1}$ 上の点を $z_{1}$ とする。同様に $\mathscr{C}_{2}$ と $x$ 軸が作る内角の大きさを $\psi_{2}$、$\mathscr{C}_{2}$ 上の点を $z_{2}$ とする。すると $\mathscr{C}_{1}$ と $\mathscr{C}_{2}$ が作る内角は $\psi_{2} - \psi_{1} = \psi$ になるだろう。

$$ z - \alpha := r e^{i \theta_{1}} \\ z_{2} - \alpha = r e^{i \theta_{2}} $$ と置くとき $$ \theta_{1} \to \psi_{1} \\ \theta_{2} \to \psi_{2} $$ の時、 $$ w_{1} - \beta = R_{1} e^{i \phi _{1}} \\ w_{2} - \beta = R_{2} e^{i \phi _{2}} $$ だ。$w_{k}: = f(z_{k})$ の存在が仮定されるので、$\rho > 0$ に対して $f ' (\alpha) = \rho e^{ i \lambda }$ と置くことができる。

$$ f ’ ( \alpha) = \lim_{z_{1} \to \alpha } {{w_{1} - \beta } \over {z_{1} - \alpha }} = \lim_{z_{1} \to \alpha} {{R_{1}} \over {r}} e^{ i ( \phi_{1} - \theta_{1} )} = \rho e^{ i \lambda } $$ これにより、 $$ \lim_{z_{1} \to \alpha } (\phi_{1} - \theta_{1}) = \lambda $$ そして、それによって、 $$ \lim_{w_{1} \to \beta } \phi_{1} = \psi_{1} + \lambda \\ \lim_{w_{2} \to \beta } \phi_{2} = \psi_{2} + \lambda $$ が得られる。したがって $\mathscr{C}_{1} ' $ と $u$ 軸が作る内角の大きさは $\psi_{1} + \lambda$ で、$\mathscr{C}_{2} ' $ と $u$ 軸が作る内角の大きさは $\psi_{2} + \lambda$ になる。最後に、$\mathscr{C}_{1} ' $ と $\mathscr{C}_{2} ' $ が作る内角は $\lambda$ で打ち消しあって、 $$ (\psi_{2} + \lambda) - (\psi_{1} + \lambda) = \psi_{2} - \psi_{1} = \psi $$ になる。


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p194. ↩︎