コーシー・リーマン方程式の逆が成立する条件
📂複素解析コーシー・リーマン方程式の逆が成立する条件
定理
複素領域 A⊆C で定義された複素関数 f:A→C が実数値をとる関数 u,v について
f(z)=f(x+iy)=u(x,y)+iv(x,y)
と表せるし、u,v が x,y に対して連続な一階偏微分関数を持ち、同時に連立微分方程式
{ux(x,y)=vy(x,y)uy(x,y)=−vx(x,y)
を満たすならば、f は A で解析的である。
説明
解析学はいつもこうやって言葉が長くて読むのも嫌な問題がある。簡単にまとめると、コーシー・リーマン方程式の逆が成り立とうとするなら、偏微分関数が連続でなければならないということだ。当然、我々が扱うほとんどの関数はこの条件を簡単に満たす。
証明
Part 1. ux,uy の形
一般性を失わずに二つの実数 α,β>0 に対してh:=α+iβ と置くと f に対して
f(z+h)−f(z)=[u(x+α,y+β)−u(x,y)]+i[v(x+α,y+β)−v(x,y)]
を得る。同様に一般性を失わずに u だけを考えれば、平均値の定理により
===u(x+α,y+β)−u(x,y)u(x+α,y+β)−u(x,y+β)+u(x,y+β)−u(x,y)[u(x+α,y+β)−u(x,y+β)]+[u(x,y+β)−u(x,y)]αux(x+θα,y+β)+βuy(x,y+ϕβ)
を満たす 0<θ<1 と 0<ϕ<1 が存在する。
平均値の定理: 関数 f(x) が [a,b] で連続であり、(a,b) で微分可能であるならば、f′(c)=b−af(b)−f(a) を満たす c が (a,b) に少なくとも一つ存在する。
ここで θ∈(0,1) と置くのは u(x,y+β) が [x,x+α] で平均値の定理を使うとき
∂x∂u(c,y+β)=⟹αux(c,y+β)=(x+α)−xu(x+α,y+β)−u(x,y+β)u(x+α,y+β)−u(x,y+β)
として c∈(x,x+α) を x と (x+α) の間の数 x+θα として表せるからである。
Part 2. f′(z) の形
今、ある ε1 と ε2 に対して
ux(x+θα,y+β)=uy(x,y+ϕβ)=ux+ε1uy+ε2
と置くと、仮定で ux と uy が連続だとしたので、(α,β)→0 の時 ε1,ε2→0 になる。(この部分で連続性が必要である。)したがって
u(x+α,y+β)−u(x,y)=αux+βuy+αε1+βε2
であり、同じ方法で v もある η1 と η2 に対して
v(x+α,y+β)−v(x,y)=αvx+βvy+αη1+βη2
と置くことができる。再び f(z+h)−f(z) に戻ると、u,v がコーシー・リーマン方程式を満たしているので
===f(z+h)−f(z)[u(x+α,y+β)−u(x,y)]+i[v(x+α,y+β)−v(x,y)][αux+βuy+αε1+βε2]+i[αvx+βvy+αη1+βη2]h(ux+ivx)+αξ1+βξ2
であり、ここで ξ1:=ε1+η1 であり、ξ2:=ε2+η2 である。今
f′(z)=h→0limhf(z+h)−f(z)=h→0lim(ux+ivx+hαξ1+βξ2)
なので、limh→0hαξ1+βξ2=0 を示せば証明が完了する。
Part 3. h→0limhαξ1+βξ2=0
不等式
hαξ1+βξ2≤α2+β2max(∣α∣,∣β∣)∣ξ1+ξ2∣≤∣ξ1+ξ2∣≤∣ξ1∣+∣ξ2∣
から
h→0limξ1=0h→0limξ2=0
であるため、次のことが成立する。
h→0limhαξ1+βξ2=0
■
リニューアル
- 23年8月19日、リュデシク、平均値の定理に関連する内容を集中強化