回転座標系で動く物体の速度と加速度
📂古典力学回転座標系で動く物体の速度と加速度
公式
回転する座標系で、物体の速度と加速度は以下のとおりである。
v=v′+ω×r′+V0
a=a′+ω˙×r′+2ω×v′+ω×(ω×r′)+A0
回転する座標系
走っている電車と、その中で飛んでいるハエを想像してみよう。電車内の人は、ハエの動きだけを考えればいいので、ハエの運動を説明するのは簡単だ。しかし、電車の外にいる人は、電車の運動も考慮しないといけないので、ずっと難しくなる。このとき、ハエの運動を2つの部分に分けて考えてみよう。地面に対して走る電車と、電車に対して動くハエとに分けてみる。電車に対して動くハエを説明するのは、電車内から見た場合と同じなので、簡単に解決できる。また、地面に対して走る電車を説明することも難しくない。こうして、複雑に見える運動は、理解しやすい部分に分けて考えることで、比較的簡単に扱うことができる。今度は、固定された座標系に対して回転する座標系の上で動く物体の運動を考えてみよう。簡単に例えると、回転するディスコの上で動く人の変位、速度、加速度を外から見ている人がどのように表現できるかということだ。以下の図を見てみよう。

座標系に関係なく、rとr′の2つのベクトルは同じだ。名前が違っても、確かに同じベクトルだ。
r=xi+yj+zk=x′i′+y′j′+z′k′=r′
このとき、i=x^、j=y^、k=z^が成り立つ。
速度
それでは、rとr′を時間に対して微分してみよう。rを微分するのはいつもどおり難しくない。しかし、r′を微分する場合は注意が必要だ。i、j、kは時間とともに変わらないので、dtdi=0だが、i′、j′、k′は回転しているので、時間に対する変化率は0ではない。この点に注意して微分すると
dtdr=dtdxi+dtdyj+dtdzk=dtdx′i′+x′dtdi′+dtdy′j′+y′dtdj′+dtdz′k′+z′dtdk′=dtdr′
dtdx′i′+dtdy′j′+dtdz′k′は、固定された座標系から見たときの物体の速度と同じである。つまり、ディスコに一緒に乗っている人が観察した場合の人の速度である。したがって、要約すると
v=v′+x′dtdi′+y′dtdj′+z′dtdk′
これで、三つの単位ベクトルの微分を計算してみよう。
角度が十分に小さい場合、弧の長さは弦の長さに近似できる
∣Δi′∣≈∣i′∣sinϕΔθ=sinϕΔθ
したがって、
dtdi′=Δt→0limΔtΔi′=sinϕΔ→0limΔtΔθ=sinϕdtdθ=sinϕω
また、Δi′はωとiに垂直する。したがって、二つのベクトルの外積で表現できる。
dtdi′=ω×i′
同様に、以下の式も成り立つことがわかる。
dtdj′=ω×j,dtdk′ω×k′
したがって、
x′dtdi′+y′dtdj′+z′dtdk′=ω×x′i′+ω×y′j′+ω×z′k′=ω×(x′i′+y′j′+z′k′)=ω×r′
ということになる。
v=v′+ω×r′
具体的に書けば、
dtdrf=dtdr′r+ω×r′=[dtdr+ω×]r′
下添え字のfは、固定された座標系に対する時間微分を意味し、「fixed」の頭文字から取った。下添え字のrは、回転する座標系に対する時間微分を意味し、「rotation」の頭文字から取った。つまり、dtdfは、i、j、kを0に変え、dtdrは、i′、j′、k′を0に変える。
加速度
最初にr=r′だったので、どんなベクトルをr(=r′)の場所に代入しても、方程式は成立する。
dtdAf=[dtdr+ω×]A
ここに速度v=v′+ω×r′を代入すると
dtdvf=[dtdr+ω×](v′+ω×r′)=dtdr(v′+ω×r′)+ω×(v′+ω×r′)=dtdv′r+dtdr(ω×r′)+ω×v′+ω×(ω×r′)=dtdv′r+dtdωr×r′+ω×dtdr′r+ω×v′+ω×(ω×r′)
これを簡単にまとめると
a=a′+ω˙×r′+ω×v′+ω×v′+ω×(ω×r′)=a′+ω˙×r′+2ω×v′+ω×(ω×r′)
これは、ディスコの外から見たディスコの上の物体の動きを、回転する座標系での変位、速度、加速度で表現できるということだ。回転する座標系が固定された座標系に対して平行移動(直線運動、平行移動)をもする場合は、座標系が平行移動する速度と加速度を単に加えればいい。
v=v′+ω×r′+V0
a=a′+ω˙×r′+2ω×v′+ω×(ω×r′)+A0