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微分幾何学におけるクリストッフェル記号 📂幾何学

微分幾何学におけるクリストッフェル記号

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$\mathbf{x} : U \to \mathbb{R}^{3}$を座標写像とする。微分幾何学では、幾何学的な対象の特徴や性質を微分を通して説明する。したがって、座標切れ目$\mathbf{x}$の導関数が色々な定理と公式で登場することになる。例えば、1次の導関数$\left\{ \mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2} \right\}$は接空間$T_{p}M$の基底になる。したがって、任意の接線ベクトル$\mathbf{X} \in T_{p}M$は次のように表現することができる。

$$ \mathbf{X} = X^{1}\mathbf{x}_{1} + X^{2}\mathbf{x}_{2} $$

それでは、座標写像の2次の導関数$\mathbf{x}_{ij} = \dfrac{\partial^{2} \mathbf{x}}{\partial u_{i} \partial u_{j}}$について考えてみよう。これは$\mathbb{R}^{3}$のベクトルなので、$\mathbb{R}^{3}$の基底の線形組み合わせで表現することができる。でも、すでに$\mathbb{R}^{3}$で互いに直交する3つのベクトルを知っているけど、それは1次の導関数と単位法線だ。

$$ \left\{ \mathbf{n}, \mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2} \right\} $$

すると、$\mathbf{x}_{ij}$は次のように表される。

$$ \mathbf{x}_{ij} = a_{ij} \mathbf{n} + b^{1}_{ij} \mathbf{x}_{1} + b^{2}_{ij} \mathbf{x}_{2} $$

これらの係数$b_{ij}^{1}, b_{ij}^{2}$をクリストッフェル記号という。さて、これらの係数を具体的に求めてみよう。第1基本形式の性質によって以下が成立する。

$$ \begin{align*} && \left\langle \mathbf{x}_{ij}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle &=\ b_{ij}^{1}\left\langle \mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle + b_{ij}^{2}\left\langle \mathbf{x}_{2}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle \\ && &=\ \sum\limits_{k^{\prime}=1}^{2}b_{ij}^{k^{\prime}}\left\langle \mathbf{x}_{k^{\prime}}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle \\ && &=\ \sum\limits_{k^{\prime}=1}^{2}b_{ij}^{k^{\prime}} g_{k^{\prime}l} \\ \implies && \sum\limits_{l=1}^{2}\left\langle \mathbf{x}_{ij}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle g^{lk} &=\ \sum\limits_{l=1}^{2}\sum\limits_{k^{\prime}=1}^{2}b_{ij}^{k^{\prime}} g_{k^{\prime}l}g^{lk} \\ && &=\ \sum\limits_{k^{\prime}=1}^{2}b_{ij}^{k^{\prime}} \delta_{k^{\prime}}^{k} \\ && &=\ b_{ij}^{k} \end{align*} $$

さて、これらの$b_{ij}^{k}$を$\Gamma_{ij}^{k}$と表記して、次のように定義しよう。

定義

以下のように定義される$\Gamma_{ij}^{k}(1\le i,j,k \le 2)$をクリストッフェル記号という。

$$ \Gamma_{ij}^{k} := \sum \limits_{l=1}^{2} \left\langle \mathbf{x}_{ij}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle g^{lk} = \left\langle \mathbf{x}_{ij}, \mathbf{x}_{l} \right\rangle g^{lk} $$

$\sum$の省略された式はアインシュタインの記法を使用している。

説明

$\mathbf{x}_{12} = \mathbf{x}_{21}$であるから、$\Gamma_{12}^{k} = \Gamma_{21}^{k}$である。

$\mathbf{x}_{ij}$の接成分$b_{ij}^{k}$を$\Gamma_{ij}^{k}$と表記し、クリストッフェル記号と呼び、$\mathbf{x}_{ij}$の法成分$a_{ij}$を$L_{ij}$と表記し、第2基本形式の係数と呼ぶ。

ここで紹介したクリストッフェル記号は具体的には第2クリストッフェル記号である。第1クリストッフェル記号以下のように定義される。

$$ \Gamma_{ij \vert l} := \sum \limits_{k=1}^{2} \Gamma_{ij}^{k}g_{kl} $$

通常、クリストッフェル記号と言えば第2記号を指す。これらの記号を初めて使ったのはG.B.クリストッフェルで、当時は第2記号を$\begin{Bmatrix} ij \\ k \end{Bmatrix}$としていたという。

参照