エルミート行列の固有値は常に実数である
📂行列代数エルミート行列の固有値は常に実数である
定理
Aをn×nのサイズを持つエルミート行列としよう。そうすると、Aの固有値は全て実数である。
説明
一般の行列において、固有値が実数である保証はなく、エルミート行列については、証明を通して実数であることが確認できる。
直感的には思いつきにくいが、証明自体は比較的簡単な方であり、事実としても非常に有用である。正定値性などの概念と組み合わせることにより、様々な良い結果を生むので、是非知っておくべきだ。
証明
Aの固有値をλ、それに対応する固有ベクトルをxとする。すると、固有値方程式は以下のようになる。
Ax=λx
両辺の左側にx∗を乗じると、以下のようになる。
x∗Ax=λx∗x
両辺に共役転置∗を取ると、共役転置の性質により、以下のようになる。
(x∗Ax)∗=⟹x∗A∗x=(λx∗x)∗λx∗x
Aはエルミート行列なので、A=A∗が成り立ち、上の式は以下のようになる。
x∗Ax=λx∗x
(1)と(2)により、次の式が成立する。
λx∗x=x∗Ax=x∗A∗x=λx∗x
したがって、
(λ−λ)x∗x=0
しかし、xは固有ベクトルなので、0ではない。したがって、x∗x=0である。よって、
λ=λ
これはλが実数であることを意味する。
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参考