逆行列と連立一次方程式
📂行列代数逆行列と連立一次方程式
Aをサイズがn×nの正方行列だとする。すると以下の命題はすべて等価である。
(a) Aは可逆行列である。
(e) Ax=bはすべてのサイズn×1の行列bに対して解を持つ。
(f) Ax=bはすべてのサイズn×1の行列bに対してただ一つの解を持つ。つまりx=A−1bが成り立つ。
説明
**(e)と(f)**が等価であることは、すべてのサイズbの行列n×1に対して線形システムAx=bが少なくとも一つの解を持つならば、正確にその解一つだけを持つという意味である。
証明
(a) ⟹ (f)
Aが可逆行列だと仮定する。するとA(A−1b)=bが成り立つ。右辺にb=Axを代入すれば次のようになる。
⟹A(A−1b)A−1b=Ax=x
したがってx=A−1bはAx=bの解である。今、任意の解をx0とする。するとAx0=bが成立し、両辺にA−1を掛けるとx0=A−1bとなるので、解はx=A−1bで一意である。
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(f) ⟹ (e)
これは自明である。
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(e) ⟹ (a)
線形システムAx=bがすべてのサイズn×1の行列bに対して解を持つとする。すると以下の線形システムはすべて解を持つ。
Ax=10⋮0,Ax=01⋮0,Ax=00⋮1
これらの線形システムの解を順にx1,x2,…,xnとする。そして、これらの解を列ベクトルとして持つ行列をCとする。
C=[x1x2⋯xn]
ACを計算すると次のようになるので、CはAの逆行列である。したがって、Aは可逆である。
AC=A[x1x2⋯xn]=[Ax1Ax2⋯Axn]=10⋮001⋮0⋯⋯⋱⋯00⋮1=In
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