ブーリアン環
定義1
$R$を環としよう。
- $r \in R$が$r^2 = r$を満たすなら、$r$を冪等元idempotent elementという。
- $R$のすべての元が冪等元なら、$R$をブーリアン環boolean ringという。
説明
ブーリアン環を韓国語の純化語にすると「불환」となるが、語感が非常に悪いため英語の発音をそのまま使った。
線形代数学における射影が有用な性質を数多く持っているのだから、一般化された抽象代数学では言うまでもない。
ブーリアン環の例として最も有名なのは、当然「ブール代数」とも呼ばれる $$ (\left\{ \text{True}, \text{False} \right\} , \text{OR}, \text{AND} ) $$ である。よく知られているように $$ \text{True AND True} = \text{True} \\ \text{False AND False} = \text{False} $$ なので、この環はブーリアン環となる。数学徒にとってより馴染み深い例としては$\mathbb{Z}_{2}$があり、当然ながらブーリアン環と$\mathbb{Z}_{2}$は同型である。
一方、ブーリアン環の性質として次のことが知られている。
定理
ブーリアン環は可換環である。
証明
ブーリアン環$R$に対して$a, b \in R$ならば$(a+b) \in R$であり $$ (a + b)^2 = (a+b) $$ 分配法則によって $$ (a + b)^2 = (a+b)a + (a+b)b = a^2 + ba + ab + b^2 = (a+b) $$ $a^2 = a$そして$b^2 = b$なので $$ a+ ba + ab + b = a+ b $$ $a$と$b$は加法に関する逆元が存在するので、整理すると $$ ba +ab = 0 $$ 両辺に$ba$の逆元$(-ba)$を加えると$ab = -ba$なので $$ ab = (ab)^2 = (-ba)^2 = (ba)^2 = ba $$
■
関連リンク
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p176. ↩︎
