ミンコフスキー不等式
📂線形代数ミンコフスキー不等式
定理
ベクトルx=(x1,x2,…,xn)、y=(y1,y2,…,yn)と1より大きい実数pに対し、次の式が成り立つ。
(k=1∑n∣xk+yk∣p)p1≤(k=1∑n∣xk∣p)p1+(k=1∑n∣yk∣p)p1
これをミンコフスキーの不等式minkowski’s inequalityという。
説明
ミンコフスキーの不等式はp-ノルムの定義からの三角不等式に該当する。他の証明方法があるかは分からないけど、通常通りヘルダーの不等式を使用すると、循環論法になってしまう。これはヘルダーの不等式を説明するときに、既にp-ノルムが定義されていることを前提としているからであるが、本質的にヘルダーの不等式の証明にはこのようなノルムの性質が不要なので、適切に表現を変える必要がある。
証明
三角不等式により、以下の式が成り立つ。
k=1∑n∣xk+yk∣p≤=k=1∑n∣xk∣∣xk+yk∣p−1+k=1∑n∣yk∣∣xk+yk∣p−1k=1∑n∣xk∣∣xk+yk∣p−1+k=1∑n∣yk∣∣xk+yk∣p−1
ヘルダーの不等式
p1+q1=1を満たす二つの定数p,q>1とu,v∈Cnに対し
k=1∑nukvk≤(k=1∑n∣uk∣p)p1(k=1∑n∣vk∣q)q1
ヘルダーの不等式により、以下のようである。
k=1∑n∣xk∣∣xk+yk∣p−1+k=1∑n∣yk∣∣xk+yk∣p−1≤(k=1∑n∣xk∣p)p1(k=1∑n∣xk+yk∣(p−1)q)q1+(k=1∑n∣yk∣p)p1(k=1∑n∣xk+yk∣(p−1)q)q1
p1+q1=1より(p−1)q=pであり、再整理すると以下のようである。
k=1∑n∣xk+yk∣p≤(k=1∑n∣xk∣p)p1+(k=1∑n∣yk∣p)p1(k=1∑n∣xk+yk∣p)q1
両辺を(k=1∑n∣xk+yk∣p)q1で割ると、以下のようになる。
(k=1∑n∣xk+yk∣p)1−q1≤(k=1∑n∣xk∣p)p1+(k=1∑n∣yk∣p)p1
ここで1−q1=p1であるため、以下の結果を得る。
(k=1∑n∣xk+yk∣p)p1≤(k=1∑n∣xk∣p)p1+(k=1∑n∣yk∣p)p1
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参照