バリオグラムの定義
📂統計的分析バリオグラムの定義
定義
ユークリッド空間の固定された部分集合 D⊂Rr で、確率変数 Y(s):Ω→R1 の集合である空間過程 {Y(s)}s∈D と方向ベクトル h∈Rr を考える。具体的に n∈N 個のサイトを {s1,⋯,sn}⊂D のように表し、Y(s) は全ての s∈D に対して分散が存在すると仮定する。次のように定義される 2γ(h) をバリオグラムと呼ぶ。
2γ(h):=E[Y(s+h)−Y(s)]2
特にバリオグラムの半分 γ(h) をセミバリオグラムと呼ぶ。
説明
定常的空間過程の定義:
- 全ての s∈D で μ(s) が定数関数 μ(s):=μ であり、全ての h に対して共分散がある関数 C を通じて s に無関係に h のみの関数 C:Rr→R として表される場合、{Y(s)} が弱定常性を持つと言われる。
Cov(Y(s),Y(s+h))=C(h)
ここで、C を共分散関数またはコバリオグラムと呼ぶ。
- [Y(s+h)−Y(s)] の平均が 0 であり分散が唯一 h にのみ依存する場合、{Y(s)} が固有の定常性を持つと言われる。
E[Y(s+h)−Y(s)]=Var[Y(s+h)−Y(s)]=02γ(h)
固有の定常性
定義から見ると、バリオグラム 2γ(h)=E[Y(s+h)−Y(s)]2 は実際には s にも依存する関数であるが、通常、与えられた空間過程が固有に定常的であると仮定される。逆に、固有の定常性自体が s に依存しないという条件を持っているため、これら二つは切り離して考えることができない。
弱定常性
弱定常性の定義で出てくる C(h) を共分散関数と呼ぶことは自然であり、γ がなくても単独で定義され得るにも関わらず、特にコバリオグラムと呼ぶ理由は次のような関係があるためである。
定理
弱定常的空間過程 {Y(s)}s∈D に対して、セミバリオグラム γ(h) とコバリオグラム C(h) は次を満たす。
VarY=γ(h)+C(h)
証明
空間過程 {Y} の弱定常性に従って、全ての h∈Rr に対して Cov(Y(s),Y(s+h))=C(h) で方向ベクトルにゼロベクトルを代入してみると次を得る。
C(0)=Cov(Y(s),Y(s))=VarY(s)
定常性の包含関係: 強定常的空間過程は弱定常的空間過程であり、弱定常的空間過程は固有である。
Strong⟹Weak⟹Intrinsic
一方、弱定常的空間過程が固有定常的であるため、全ての h∈Rr に対して
Var[Y(s+h)−Y(s)]=2γ(h)
が成り立つ。これを逆に解くと、
======2γ(h)Var[Y(s+h)−Y(s)]Var[Y(s+h)]+Var[Y(s)]−2Cov[Y(s+h),Y(s)]Cov[Y(s+h),Y(s+h)]+Cov[Y(s),Y(s)]−2Cov[Y(s+h),Y(s)]C(0)+C(0)−2C(h)2[C(0)−C(h)]2[VarY−C(h)]
したがって、次の等式を得る。
γ(h)=VarY−C(h)
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併せて見る
- 等方性バリオグラム: バリオグラムが方向に依存せず、距離のみに依存する場合、バリオグラムは等方性であると言われる。
- セミバリオグラムのモデル: セミバリオグラムが等方性である場合、x軸をd:=∥h∥としy軸をγ(h)として描いた散布図を特定のモデルにフィッティングして、距離に対する分散がどのようになるか感覚を掴むことができる。このグラフィカルな検証から2γとCがバリオ'グラム'と呼ばれている。
- 経験的バリオグラムγ∗: 実際のデータでは、hと正確に一致する観測値が多くない可能性がある。分析に先立って、データが一定の前提を満たしているかγ∗で見ることが勧められる。