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ワイエルシュトラスのM判定法 📂複素解析

ワイエルシュトラスのM判定法

定理 1

関数$f_{n}$と$z \in A$について、$|f_{n}(z)| \le M_{n}$を満たす正の数列$M_{n}$が存在し$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} M_{n}$が収束するならば、$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} f_{n}$は$A$で絶対収束し、一様収束する。

説明

Mテストという名称は、数列$M_{n}$から来ている。既に収束することが分かっている$M_{n}$を上手く持ってきて、関数の絶対値と不等式を設定すれば、ただの収束ではなく、絶対収束と一様収束の両方を同時に示せる便利な定理だ。何よりも、不等式を設定した後は、実数の数列だけ考えればいいから、便利だ。

証明

絶対収束は非常に簡単に示せる。

交代級数テスト: $b_n \downarrow 0$ならば、$\displaystyle \sum _{ n=1 }^{ \infty }{ (-1)^{n} {b}_{n}}$は収束する。

比較テストと定理の仮設により$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} |f_{n}(z)|$は収束し、絶対収束の定義に従って、絶対収束すると言える。

次に、一様収束はコーシーの基準を利用して証明する。

$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} f_{n}(z)$において$k$番目以降の残りの項の合計を$R_{k}(z)$とし、$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} M_{n}$において$k$番目以降の残りの項の合計を$R_{k}^{ \ast }$とすると、次が成り立つ。 $$ |R_{k}(z)| = \left| \sum_{n=k+1}^{\infty} f_{n}(z) \right| \le \sum_{n=k+1}^{\infty} |f_{n}(z)| \le \sum_{n=k+1}^{\infty} M_{n} = R_{k}^{ \ast } $$

コーシーの基準: $\displaystyle \sum _{ n=1 }^{ \infty }{ { a }_{ n }}$が収束することは$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sum _{ k=n }^{ n+m }{ { a }_{ k }}=0$と同値だ。

コーシーの基準により$\displaystyle \lim_{k \to \infty} R_{k}^{ \ast } = 0$なので、$\displaystyle \lim_{k \to \infty} |R_{k}(z)| = 0$、すなわち$\displaystyle \lim_{k \to \infty} R_{k}(z) = 0$である。すべての$z \in A$に対して上記の議論が適用できるので、$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} f_{n}(z)$は$A$で一様収束する。


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p122. ↩︎