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距離空間における関数の極限 📂距離空間

距離空間における関数の極限

定義

$(X,d_{X})$, $(Y,d_{Y})$ を距離空間としよう。$E\subset X$で、$f: E\rightarrow Y$で、$p$が$E$の集積点としよう。すると、すべての正の数$\varepsilon$に対して

$$ x \in E \ \text{and} \ d_{X}(x,p)<\delta \implies d_{Y}(f(x),q) <\varepsilon $$

を満たす$\delta>0$が存在するとき、

$$ f(x)\rightarrow q\ \mathrm{as}\ x\to p $$

あるいは

$$ \lim \limits_{x\to p}f(x)=q $$

と表現し、$f$は$p$において極限$q$を持つという。

説明

今、イプシロン-デルタ論法を学んだので、距離空間における関数の極限を上記のように厳密に定義することができる。ここで重要なのは、この定義によって$p \in X$が$p \in E$である必要はないということだ。だから、ある$p \in E$に対して

$$ f(p) \ne \lim \limits_{x\to p}f(x) $$

が成り立つかもしれない。

定理

$X$、$Y$、$E$、$f$、$p$が定義で説明した通りであるとしよう。すると、以下の二つの命題は等価である。

(a)

$$ \lim \limits_{x\to p}f(x) = q $$

(b)

$\lim \limits_{n\to\infty}p_{n}=p$であるすべての$E$の数列$\left\{ p_{n} \right\}$に対して

$$ \lim \limits_{n\to\infty}f(p_{n})=q $$


$(b)$を解くと、「$p$に収束するすべての数列$\left\{ p_{n} \right\}$に対して、数列$\left\{ f(p_{n}) \right\}$が$q$に収束する」という意味である。

証明

(a) $\Longrightarrow$ から(b)

**(a)**が成り立つと仮定してみよう。そして、$\lim \limits_{n\to\infty} p_{n}=p$である任意の数列$\left\{ p_{n} \right\}$を一つ選ぶ。そして、任意の正の数$\varepsilon >0$が与えられたとする。すると、仮定により、

$$ \begin{equation} x \in E \quad \text{and} \quad d_{X}(x,p)<\delta \implies d_{Y}(f(x),q)<\varepsilon \label{eq1} \end{equation} $$

を満たすようなある正の数$\delta$が存在する。また、$\left\{ p_{n} \right\}$は$p$に収束する数列なので、前で得られた正の数$\delta$に対して

$$ \begin{equation} n\ge N \implies d_{X}(p_{n},p) <\delta \label{eq2} \end{equation} $$

を満たす正の数$N$が存在する。したがって、$\eqref{eq1}$と$\eqref{eq2}$により、次のことが成り立つ。

$$ n\ge N \implies d_{X}(p_{n},p)<\delta \implies d_{Y}(f(p_{n}),q)<\varepsilon $$

これは数列$\left\{ f(p_{n}) \right\}$が$q$に収束する条件なので、

$$ \lim \limits_{n\to\infty} f(p_{n})=q $$

証明に入る前に、以下の証明は少し複雑だ。対偶法によって「(b)ならば(a)」が真であることは、「**(a)でないならば(b)**でもない」も真であることと同じであるので、「$\lim \limits_{x\to p}f(x)=q$が成り立たないならば、$p$に収束するいくつかの数列$\left\{ p_{n} \right\}$に対して、数列$\left\{ f(p_{n}) \right\}$が$q$に収束しない」ということを示そうと思う。

(a) $\Longleftarrow$ から(b)

**(a)**が成り立たないとする。すると、定義により、ある$\varepsilon$に対して、

$$ \begin{equation} x\in E \quad \text{and} \quad d_{X}(x,p)<\delta \implies d_{Y}(f(x),q) \ge \varepsilon \label{eq3} \end{equation} $$

が成り立つ正の数$\delta$が存在する。そして、$p$に収束するある数列$\left\{ p_{n} \right\}$を考えてみよう。それから、

$$ \begin{equation} n\ge N \implies d_{X}(p_{n},p) <\delta \label{eq4} \end{equation} $$

を満たすような十分に大きな正の数$N$が存在する。だから、$\eqref{eq3}$、$\eqref{eq4}$により、ある$\varepsilon$に対して、

$$ n \ge N \implies d_{X}(p_{n},p)<\delta \implies d_{Y}(f(p_{n}),q) \ge \varepsilon $$

が成り立たないので、数列$\left\{ f(p_{n}) \right\}$は$q$に収束しない。

$f$が$p$における極限を持つ場合、その極限は唯一である。


距離空間で収束する数列の性質1と上の定理から導かれる。


  1. (b) 参照 ↩︎