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すべての可分ヒルベルト空間がl^2空間と等長同型であることの証明 📂ヒルベルト空間

すべての可分ヒルベルト空間がl^2空間と等長同型であることの証明

定理1

全ての無限次元分割可能ヒルベルト空間$H$は、$\ell^{2}$と等距離同型である。

説明

分割可能なヒルベルト空間が$\ell^{2}$と等距離同型であるという事実は、事実上、ヒルベルト空間の研究では$\ell^{2}$だけを研究すればよいということを意味している。

証明

分割可能ヒルベルト空間のグラム・シュミット正規直交化

すべての分割可能ヒルベルト空間は正規直交基底を持つ。

ベッセルの不等式の補助定理

$\left\{ \mathbf{v}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$がヒルベルト空間$H$の正規直交集合である場合、次が成り立つ。

すべての$\left\{ c_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \in \ell^{2}$に対し、無限級数$\sum_{k \in \mathbb{N}} c_{k} \mathbf{v}_{k}$は収束する。

ヒルベルト空間$H$はグラム・シュミット正規直交化に従い、$\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$を持ち、上記の補助定理により、$\sum_{k \in \mathbb{N}} c_{k} \mathbf{e}_{k}$は全ての$\left\{ c_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \in \ell^{2}$に対し収束性が保証される。今$\left\{ \delta_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$を$\ell^{2}$の正規直交基底とし、作用素$U : H \to \ell^{2}$を以下のように定義する。

$$ U \left( \sum_{k \in \mathbb{N}} c_{k} \mathbf{e}_{k} \right) := \sum_{k \in \mathbb{N}} c_{k} \delta_{k} $$

すると、$U$は、$H$と$\ell^{2}$の間の全単射である。

正規直交基底の同値条件: $H$がヒルベルト空間であるとする。$H$の正規直交システム$\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \subset H$に対し、次は全て同値である。

  • (i): $\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \subset H$は$H$の正規直交基底である。
  • (ii): 全ての$\mathbf{x}\in H$に対して $$ \mathbf{x}= \sum_{k \in \mathbb{N}} \langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle \mathbf{e}_{k} $$
  • (iv): 全ての$\mathbf{x}\in H$に対して $$ \sum_{k \in \mathbb{N}} \left| \langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle \right|^{2} = \left\| \mathbf{x}\right\|^{2} $$

全ての$\mathbf{v} \in H$は正規直交基底$\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$に対して、以下のように一意の展開を持つ。

$$ \mathbf{v} = \sum_{k \in \mathbb{N}} \left\langle \mathbf{v} , \mathbf{e}_{k} \right\rangle \mathbf{e}_{k} $$

したがって、

$$ \begin{align*} \left\| U \mathbf{v} \right\|^{2} =& \left\| \sum_{k \in \mathbb{N}} \left\langle \mathbf{v} , \mathbf{e}_{k} \right\rangle \delta_{k} \right\|^{2} \\ =& \sum_{k \in \mathbb{N}} \left| \left\langle \mathbf{v} , \mathbf{e}_{k} \right\rangle \right|^{2} \\ =& \left\| \mathbf{v} \right\|^{2} \end{align*} $$

となり、$U : H \to \ell^{2}$は等距離同型写像になる。


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p82-83 ↩︎