磁気双極子が生成する磁場
📂電磁気学磁気双極子が生成する磁場
説明

磁気双極子 m によるベクトルポテンシャルは、磁気双極子モーメントで次のように与えられる。
Adip(r)=4πμ0r2m×r^=4πμ0r2msinθϕ^
今、mが原点にあり、そしてz軸と並行だとすると、上の図のようになる。磁場はベクトルポテンシャルのカールであるから、球面座標系で次のようになる。
B=∇×Adip=rsinθ1[∂θ∂(sinθAϕ)−∂ϕ∂Aθ]r^+r1[sinθ1∂ϕ∂Ar−∂r∂(rAϕ)]θ^+r1[∂r∂(rAθ)−∂θ∂Ar]ϕ^
各成分を計算すると以下のようになる。Adipの成分はAϕのみ存在するので、
BrBθBϕ=rsinθ1∂θ∂(sinθAϕ)=rsinθ1∂θ∂(4πμ0r2msin2θ)=4πμ0r32mcosθ=−r1∂r∂(rAϕ)=−r1∂r∂(4πμ0rmsinθ)=4πμ0r3msinθ=0
したがって、磁気双極子が作る磁場は次のようになる。
Bdip(r,θ)=4πμ0r3m(2cosθr^+sinθθ^)
面白いことに、これは電気双極子が作る電場と正確に同じ式である。
公式
上の式を座標系に依存しない形に変えると、次のようになる。
Bdip(r)=4πμ0r31[3(m⋅r^)r^−m]
導出
まず、球面座標系の単位ベクトルを直交座標系の単位ベクトルで表すと、次のようになる。
r^=θ^= cosϕsinθx^+sinϕsinθy^+cosθz^ cosϕcosθx^+sinϕcosθy^−sinθz^
したがって、(1)の括弧内の式を計算すると、次のようになる。
====2cosθr^+sinθθ^ 2cosϕsinθcosθx^+2sinϕsinθcosθy^+2cos2θz^+cosϕsinθcosθx^+sinϕcosθsinθy^−sin2θz^ 3cosϕsinθcosθx^+3sinϕsinθcosθy^+3cos2θz^−(sin2θ+cos2θ)z^ 3cosθ(cosϕsinθx^+sinϕsinθy^+cosθz^)−z^ 3(m^⋅r^)r^−z^
最後の等式はcosθ=m^⋅r^のため成り立つ。これで、次の結果を得る。
Bdip(r,θ)=4πμ0r3m(2cosθr^+sinθθ^)=4πμ0r3m[3(m^⋅r^)r^−z^]=4πμ0r31[3(m⋅r^)r^−mz^]=4πμ0r31[3(m⋅r^)r^−m]=Bdip(r))
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