マクシマル補題
📂測度論マクシマル補題
定理
BをRnでのオープンボールのコレクションとしよう。U=B∈B⋃Bとする。すると、ある定数c<m(U)に対して、以下の条件を満たす互いに素なBj∈Bが有限個存在する。
3nc<j=1∑km(Bj)
ここでmはn次元のルベーグ測度だ。
説明
実際に、この定理がマクシマル補題maximal lemmaと正式に名付けられているわけではなく、マクシマル定理で補題として使用されるために便宜上名付けられたものだ。
測度の値がm(U)とc/3nの間の有限集合Bjが必ず存在することを保証する。
証明
まず、c<m(K)≤m(U)を満たすコンパクト集合K⊂Uが存在する。すると、コンパクトの定義によりKのサブカバー{Ai}1lが存在する。今、これらの中で最も大きいものをB1とする。B1と互いに素なAiの中で最も大きいものをB2とする。そして、B1とB2と互いに素なAiの中で最も大きいものをB3とする。このようにして、有限コレクション{Bj}を構成することができる。
{Bj}に含まれなかったAiに対して、Ai∩Bj=∅を満たすjが存在する。また、そのようなjの中で最も小さいjに対して、Aiの半径はBj以下である。つまり、Bjの半径より大きくなることはできない。そうでなければ、{Bj}を構成する時に、AiがBjの名前を持っていったことになる。
今、Bj∗をBjと中心が同じで半径が3倍のオープンボールとしよう。すると、AiはBjより半径が大きくなく、Bjと重なるため、必ずBj∗に含まれる。したがって、K⊂⋃Aj⊂⋃Bj∗である。
c<m(K)<m(⋃1kBj∗)=1∑km(Bj∗)=1∑k3nm(Bj)
⟹3nc<j=1∑km(Bj)
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定義
全ての有界な可測集合K⊂Rnに対して、
∫K∣f(x)∣dx<∞
これを満たす関数f:Rn→Cを(ルベーグ測度に関して)局所的に可積分であるlocally integrableと言い、局所的に可積分な関数の集まりをLloc1のように表す。
f∈Lloc1、x∈Rn、r>0とする。中心がxで半径がrのオープンボールをB(r,x)=Br(x)のように表す。すると、Br(x)上でfの関数値の平均Arf(x)を次のように定義する。
Arf(x):=m(Br(x))1∫Br(x)f(y)dy
Arを平均作用素averaging operatorという。