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近似導関数 📂シュワルツ超函数

近似導関数

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超関数の微分を定義するアイデアを思い出そう。$u \in {L}_{\mathrm{loc}}^1(\Omega)$に対して、正則超関数$T_{u}$が存在する。$u$が微分可能であれば、部分積分法により、次の式が成り立ち、$T_{u}$の導関数を$u$の導関数である$u^{\prime}$に対応する$T_{u^{\prime}}$として定義した。

$$ \begin{align*} T_{u}^{\prime}(\phi) &:= T_{u^{\prime}}(\phi) \\ &= \int u^{\prime}(x)\phi (x)dx \\ &= \left[ u(x) \phi (x) \right]_{-\infty}^{\infty} -\int u(x)\phi ^{\prime} (x) dx \\ &= -\int u(x)\phi ^{\prime} (x) dx \\ &= -T_{u}(\phi^{\prime}) \end{align*} $$

でも、もし$u(x)$が$\Omega$で微分可能ではないとしたら。それでも、$u$に対応する超関数$T_{u}$は定義により、次のような導関数を持つ。

$$ T_{u}^{\prime}(\phi) = T_{u}(\phi^{\prime}) $$

従って、次の式を満たす$v(x)$が存在するなら、これを$u(x)$の導関数として扱うことができるだろう。

$$ -T_{u}(\phi^{\prime}) = -\int u(x)\phi ^{\prime} (x) dx = \int v(x)\phi (x)dx = T_{v}(\phi) $$

これを多指数$\alpha$に対して拡張すると、次のようになる。

$$ (-1)^{|\alpha|} \int_{\Omega} u(x){D}^{\alpha}\phi (x)dx = \int_{\Omega}v_{\alpha}(x)\phi (x)dx, \quad \forall\ \phi \in \mathcal{D}(\Omega) $$

定義1

$u \in {L}_{\mathrm{loc}}^1(\Omega)$としよう。次のような式を満たす$v_{\alpha}$が存在するなら、これを$u$の弱導関数weak derivativeまたは超関数的導関数distributional derivativeと呼ぶ。

$$ \begin{align*} T_{{v}_{\alpha}} &= {D}^{\alpha}T_{u} & \text{in } \mathcal{D}^{\ast}(\Omega) \\ \int_{\Omega}v_{\alpha}(x)\phi (x)dx &= (-1)^{|\alpha|} \int_{\Omega} u(x){D}^{\alpha}\phi (x)dx & \forall\ \phi \in \mathcal{D}(\Omega) \end{align*} $$

説明

簡単な説明はここを参照してくれ。

区間$(-1, 1)$で、$u$と$v$が下のように定義されているとしよう。

$$ u(x) = |x| \quad \text{and} \quad v(x) = \begin{cases} 1 & 0 \lt x \lt 1 \\ 0 & x=0 \\ -1 & -1 \lt x \lt 0 \end{cases} $$ すると、$u$は$x=0$で微分不可能なので、$(-1,1)$で導関数を定義することはできないが、$v$が$u$の弱導関数になる。$v$が$u$の弱導関数であることは、下の過程で確認できる。$\phi \in \mathcal{D}(\Omega)$としよう。すると、次の式が成り立つ。

$$ \begin{align*} -\int_{-1}^1 u(x) \phi^{\prime}(x)dx &= -\int_{-1}^{0} |x| \phi^{\prime}(x) dx -\int_{0}^{1} |x| \phi^{\prime}(x) dx \\ &= -\int_{-1}^{0} -x \phi^{\prime}(x) dx -\int_{0}^{1} x \phi^{\prime}(x) dx \\ &= -\left( [-x\phi (x)]_{-1}^{0} +\int_{-1}^{0}\phi (x)dx \right) - \left( [x\phi (x)]_{0}^1-\int_{0}^1 \phi (x)dx \right) \\ &= \int_{-1}^{0} -1 \cdot \phi (x) dx + \int_{0}^{1}\ 1 \cdot \phi (x) dx \\ &= \int_{-1}^1v(x)\phi (x) dx \end{align*} $$

実際に$v(x)$の値は$x \ne 0$の所では全て$u^{\prime}(x)$と同じで、$x=0$では、$u(x)$の左右の微分係数の中間値を持つ。従って、$v(x)$を$u(x)$の導関数として扱っても問題ないことがわかる。


  1. Robert A. Adams and John J. F. Foutnier, Sobolev Space (2nd Edition, 2003), p22 ↩︎