双対空間の内積
📂ヒルベルト空間双対空間の内積
導入
ベクトル空間 Vに対して、(V,⟨⋅,⋅⟩V)をヒルベルト空間とする。V∗をVの双対空間とする。リース表現定理によれば任意のf∈V∗は唯一のvf∈Vについて次のように表現される。
f=⟨⋅,vf⟩V;f(x)=⟨x,vf⟩V(1)
すなわち、f∈V∗とvf∈Vは一対一対応である。Vにはすでに内積がよく定義されており、f,g∈V∗はVに唯一対応する要素があるので、V∗の内積を以下のように自然に定義することができる。
定義
ヒルベルト空間(V,⟨⋅,⋅⟩V)の双対空間V∗の内積を以下のように定義する。
⟨f,g⟩V∗:=⟨vf,vg⟩V,f,g∈V∗(2)
このとき、vf,vg∈Vはリース表現定理によりそれぞれf,g∈V∗に対応するベクトルである。
説明
定義(2)は(1)によって再度次のように表現可能である。
⟨f,g⟩V∗=⟨vf,vg⟩V=g(vf)=f(vg)
内積が与えられると、そこから自然にノルムが定義される。 双対空間V∗のノルムは次のようになる。
∥f∥V∗=⟨f,f⟩V∗=⟨vf,vf⟩V=∥vf∥V