ポアソン方程式の基本解
ビルドアップ1
$x \in \mathbb{R}^{n}$であり、$x \ne 0$に対して、以下の関数$\Phi$をラプラス方程式の基本解と定義する。
$$ \Phi (x) := \begin{cases} -\frac{1}{2\pi}\log |x| & n=2 \\ \frac{1}{n(n-2)\alpha (n)} \frac{1}{|x|^{n-2}} & n \ge 3 \end{cases} $$
$x \mapsto \Phi (x)$のようにマッピングする関数を考えよう。これは$x \ne 0$の場所でハーモニックである。原点を$0$から$y\in \mathbb{R}^{n}$に対称移動したとする。すると、関数$x \mapsto \Phi (x-y)$は$x\ne y$の場所でハーモニックである。今、任意の関数$f : \mathbb{R}^{n} \to \mathbb{R}$が与えられたとする。すると、次の関数は、$f$が$y$に対する関数であるため、依然として変数$x$に対してハーモニックである。
$$ x \mapsto \Phi (x-y)f(y) $$
それで各$y_{k}\in \mathbb{R}^{n}$に対して上記の関数がハーモニックであるため、これらを全部足しても依然としてハーモニックである。
$$ x \mapsto \sum _{k=1}^{N}\Phi (x-y_{k})f(y_{k})\text{ is harmonic in } \mathbb{R}^{n}\setminus \left\{ y_{1},\dots,y_{N} \right\} $$
ここから$N$を増やすセンスで関数$u$を次のように定義しよう。
定義
$\Phi$をラプラス方程式の基本解としよう。すると、次のように定義される$u$をポアソン方程式の基本解と呼ぶ。
$$ \begin{equation} \begin{aligned} u(x) &= \int_{\mathbb{R}^n} \Phi (x-y) f(y)dy = \Phi \ast f (x) \\ &= \begin{cases} \displaystyle -\dfrac{1}{2\pi} \int_{\mathbb{R}^2} \log (|x-y|) f(y) dy & (n=2) \\ \displaystyle \dfrac{1}{n(n-2)\alpha (n) }\int_{\mathbb{R}^n} \dfrac{f(y)}{|x-y|^{n-2}}dy & (n \ge 3) \end{cases} \end{aligned} \end{equation} $$
この時$\ast$は畳み込みを意味する。
説明
$$ \begin{equation} \Delta u = f \end{equation} $$
これで、私たちは$u$がポアソン方程式$(2)$を満たすことを期待する。$f$に適切な条件が与えられれば、$u$が上手く定義され、ポアソン方程式も満たすことがわかる。その条件は、$f$がコンパクトサポートを持ちながら、2回連続的に微分可能なことである。
$$ f \in C^{2}_{c} $$
よく定義される
$f \in C_{c}(\mathbb{R}^n)$としよう。すると、以下を満たす開いたボール$B(x,r_{x})$が存在する。
$$ \text{supp}f \subset B(x, r_{x}),\quad r_{x}>0 $$
次の計算で$u$がよく定義されていることがわかる。
$$ \begin{align*} \left| u(x) \right| &\le \int_{ \mathbb{R}^{n} } \left| \Phi (x-y) \right| \left| f(y) \right| dy \\ &= \int_{ B(x, r_{x}) } \left| \Phi (x-y) \right| \left| f(y) \right| dy \\ &\le \max \left| f \right| \int_{ B(x, r_{x}) } \left| \Phi (x-y) \right| dy \\ &= \max \left| f \right| \int_{ B(0, r_{x}) } \left| \Phi (y) \right| dy < \infty \end{align*} $$
定理
$f \in C^{2}_{c}(\mathbb{R}^{n})$としよう。$u$が$(1)$でのようだとする。すると、次が成り立つ。
$\text{(i)}$ $u\in C^2 (\mathbb{R}^n)$
$\text{(ii)}$ $-\Delta u=f\quad \text{ in } \mathbb{R}^n$
証明
$\text{(i)}$
固定された$x \in \mathbb{R}^n$が与えられており$0 \ne h \in \mathbb{R}$、$i\in \left\{ 1,\cdots,n\right\}$とする。すると、次が成り立つ。
$$ \dfrac{u(x+he_{i})-u(x) }{h} =\int_{\mathbb{R}^n} \Phi (y)\dfrac{f(x+he_{i}-y) -f(x-y)}{h}dy $$
この時$e_{i}=(0,\cdots ,1,\cdots, 0)$は$i$番目の成分だけが$1$で、他の成分は$0$のベクトルである。すると、$f$が微分可能であるため、平均値の定理(MVT)により、任意の$y \in \mathbb{R}^n$と$h^{\prime} \in (0,h)$に対して次が成り立つ。
$$ \dfrac{f(x+he_{i}-y) - f(x-y)}{h}=f_{x_{i}}(x+h^{\prime}e_{i}-y) $$
仮定により$f_{x_{i}} \in C_{c}^1 (\mathbb{R}^n)$であり、コンパクト空間で連続な関数は一様連続であるため、$f_{x_{i}}$は$\mathbb{R}^n$で一様連続である。従って、与えられた$\epsilon >0$に対して$|z-w|<\delta \implies |f_{x_{i}}(z)-f_{x_{i}}(w)|<\epsilon$を満たす$\delta >0$が存在する。もし$0<|h|<\delta$ならば、全ての$y\in \mathbb{R}^n$に対して次が成り立つ。
$$ |(x+h^{\prime}e_{i}-y)-(x-y)|=|h^{\prime}|<|h|<\delta $$
したがって、次が成り立つ。
$$ \begin{align*} &&|(x+h^{\prime}e_{i}-y)-(x-y)|=|h^{\prime}|<|h| &< \delta \\ \implies && |f_{x_{i}}(x+h^{\prime}e_{i}-y)-f_{x_{i}}(x-y)| &< \epsilon \\ \implies && \sup \limits_{y\in \mathbb{R}^n} \left| \dfrac{ f(x+he_{i}-y)-f(x-y)}{h}-f_{x_{i}}(x-y) \right| &< \epsilon \end{align*} $$
それゆえ、次が成り立つ。
$$ \dfrac{f(x+he_{i}-y) - f(x-y)}{h} \rightrightarrows f_{x_{i}}(x-y)\quad \mathrm{as}\quad h\rightarrow 0 $$
したがって、次を得る。
$$ \begin{align*} u_{x_{i}}(x) &= \lim \limits_{h \rightarrow 0}\dfrac{ u(x+he_{i})-u(x)}{h} \\ &= \int_{\mathbb{R}^n} \Phi (x) f_{x_{i}}(x-y)dy \quad (i=1,\cdots, ) \end{align*} $$
同じ方式で、次が成り立つ。
$$ \begin{align*} u_{x_{i}x_{j}}(x) &= \lim \limits_{h \rightarrow 0}\dfrac{ u_{x_{i}}(x+he_{j})-u_{x_{i}}(x)}{h} \\ &= \int_{\mathbb{R}^n} \Phi (x) f_{x_{i}x_{j}}(x-y)dy \quad (i,j=1,\cdots, ) \end{align*} $$
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Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition, 2010), p 22-23 ↩︎