1次元マップのカオス
定義
カオティック・オービット1
マップ $f : \mathbb{R} \to \mathbb{R}$ のバウンデッド・オービットが以下の条件を満たす場合、このオービットはカオティックと言われる。
- (i) アシンプトティカリー・ピリオディックではない。
- (ii): $h (x_{1} ) > 0$
- バウンデッド・オービットとは、全ての $n \in \mathbb{N}$ に対して $|x_{n} | < M$ を満たす $M \in \mathbb{R}$ が存在することを意味する。
- $h(x_{1} )$ はリアプノフ指数を指す。
カオティック・マップ
全ての $n \in \mathbb{N}$ に対してピリオディック-$n$ オービットが存在する場合、マップ $f$ はカオティックと言われる。
説明
- 英語の発音を基準にすると、Chaos は [カオス]よりも [ケイオス] に近く、Chaotic の発音は [カオティック]よりも [ケイオティック] に近いため、カオティックという表記にする。
通常、数学では条件と式が与えられれば、求める答えを得ることができる。しかし、カオティックなオービットでは、リアプノフ指数が正であるため、どれだけマップを適用しても同期やアトラクションを起こさず、さらには似たようなピリオディックなオービットさえ見つけることができない。現在の条件をどれだけよく知っていても、遠い未来を予測することはできないという事実を数学的によく表した定義である。
一つ注意すべき点は、マップ $f$ で作られるシステムにカオティックなオービットが存在するとしても、そのシステム自体がカオティックであるわけではないということである。
一般化
Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p110. ↩︎