レヴィ-チヴィタ記号
📂数理物理学レヴィ-チヴィタ記号
定義
以下のように定義されるϵijkを レビ-チビタ記号Levi-Civita-symbol という。
ϵijk=⎩⎨⎧+1−10if ϵ123,ϵ231,ϵ312if ϵ132,ϵ213,ϵ321if i=j or j=k or k=i
説明
クロネッカーのデルタがインデックス同士が同じかだけを考えたとするなら、レビ-チビタ記号は定義から見えるようにインデックスの順番も値に影響を与える。ϵijkはi、j、kが重複なしで昇順(1→2→3→1)であれば+1、重複なしで降順(3→2→1→3)であれば−1、一つでも重複があれば0を値とする。単純に述べれば上のようで、全部の値を列挙すれば合計3×3×3=27個で、その中で0ではないのは6個である。
i=1j=1j=2j=3k=1ϵ111=0ϵ121=0ϵ131=0k=2ϵ112=0ϵ122=0ϵ132=−1k=3ϵ113=0ϵ123=1ϵ133=0i=2j=1j=2j=3k=1ϵ211=0ϵ221=0ϵ231=1k=2ϵ212=0ϵ222=0ϵ232=0k=3ϵ213=−1ϵ223=0ϵ233=0i=3j=1j=2j=3k=1ϵ311=0ϵ321=−1ϵ331=0k=2ϵ312=1ϵ322=0ϵ332=0k=3ϵ313=0ϵ323=0ϵ333=0
3次テンソルの一例である。
例
外積
レビ-チビタ記号を使うと、二つのベクトルの外積を非常に簡単に表現できる。3次元直交座標系で二つのベクトルの外積は以下の通りである。
A×B== e^x(AyBz−AzBy)+e^y(AzBx−AxBz)+e^z(AxBy−AyBx) e^xe^ye^zAxAyAzBxByBz
ここでx=1、y=2、z=3とすると、二つのベクトルの外積はレビ-チビタ記号を使用して以下のように表現できる。
i=1∑3j=1∑3k=1∑3ϵijke^iAjBk
0ではない項だけを展開すると、以下のようになる。
=i=1∑3j=1∑3k=1∑3ϵijke^iAjBk ϵ123e^1A2B3+ϵ132e^1A3B2+ϵ231e^2A3B1+ϵ213e^2A1B3+ϵ312e^3A1B2+ϵ321e^3A2B1
ここでϵ123=ϵ231=ϵ312=1、ϵ132=ϵ213=ϵ321=−1を代入して整理すると、以下のようになる。
=i=1∑3j=1∑3k=1∑3ϵijkAiBje^k e^1(A2B3−A3B2)+e^2(A3B1−A1B3)+e^3(A1B2−A2B1)
最後に1、2、3にそれぞれx、y、zを代入すると、以下を得る。
e^x(AyBz−AzBy)+e^y(AzBx−AxBz)+e^z(AxBy−AyBx)
したがって、以下の結果を得る。
A×B=i=1∑3j=1∑3k=1∑3ϵijke^iAjBk
アインシュタインの記法を使えば、以下のようになる。
A×B=ϵijke^iAjBk
外積の各成分も容易に表現できるが、上の式から分かるように、(A×B)のi成分は以下の通りである。
(A×B)i=ϵijkAjBk
行列式
3×3行列A=[aij]の行列式は、以下のように表される。
a11a21a31a12a22a32a13a23a33=i,j,k=1∑3ϵijka1ia2ja3k
示す方法は簡単だ。行列式を展開し、行列の各成分の二番目のインデックスをよく見ると、インデックスのレビ-チビタ記号が各項の符号と一致することがわかる。
detA=a11(a22a33−a23a32)+a12(a23a31−a21a33)+a13(a21a32−a22a31)=a11a22a33−a11a23a32+a12a23a31−a12a21a33+a13a21a32−a13a22a31=a11a22a33−a11a23a32+a12a23a31−a12a21a33+a13a21a32−a13a22a31=ϵ123a11a22a33+ϵ132a11a23a32+ϵ231a12a23a31+ϵ213a12a21a33+ϵ312a13a21a32+ϵ321a13a22a31=i,j,k=1∑3ϵijka1ia2ja3k
(a) 一つのインデックスが同じ場合: ϵijkϵlmk=δilδjm−δimδjl
(b) 二つのインデックスが同じ場合: ϵijkϵljk=2δil
(c) 三つのインデックスが同じ場合: ϵijkϵijk=6