パート1. (H∗,∥⋅∥)はヒルベルト空間である
リースの表現定理:Hがヒルベルト空間だとする。Hの線形汎関数 f∈H∗ とx∈Hについて、f(x)=⟨x,y⟩と∥f∥=∥y∥を満たすy∈Hが一意に存在する。
関数⟨⋅,⋅⟩∗:H∗×H∗→Cを⟨f,g⟩∗:=⟨yg,yf⟩=f(yg)のように定義する。ここで、yf,yg∈Hはリースの表現定理から∥f∥=∥yf∥と∥g∥=∥yg∥を満たす要素である。
すると、⟨⋅,⋅⟩∗は下記の三つの条件を満たし、H∗の内積となる。
(i): ⟨λf1+f2,g⟩∗=(λf1+f2)(yg)=λf1(yg)+f2(yg)=λ⟨f1,g⟩∗+⟨f2,g⟩∗
(ii): ⟨f,g⟩∗=⟨yg,yf⟩=⟨yf,yg⟩=⟨g,f⟩∗
(iii): ⟨f,f⟩∗=⟨yf,yf⟩=∥yf∥2≥0 そして ⟨f,f⟩∗=∥yf∥2=0⟺yf=0⟺f=0
線形作用素の性質:Yがバナッハ空間ならば、(B(X,Y),∥⋅∥)もバナッハ空間である。
ここで、Y=Cがバナッハ空間なので、(B(X,Y),∥⋅∥)=(H∗,∥⋅∥)もバナッハ空間である。H∗が内積が定義された完備空間なので、ヒルベルト空間となる。