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1階線形微分方程式の積分因子法 📂微分方程式

1階線形微分方程式の積分因子法

概要1

一次線形微分方程式 dydx+p(x)y=q(x)\dfrac{dy}{dx}+p(x)y=q(x)の解は次のように与えられる。

y(x)=1ep(x)dx[ep(x)dxq(x)dx+C]=ep(x)dxep(x)dxq(x)dx+ep(x)dxC \begin{align*} y(x)&=\dfrac{1}{e^{\int p(x) dx}} \left[ \int e^{\int p(x) dx} q(x) dx +C \right] \\ &=e^{-\int p(x) dx}\int e^{\int p(x) dx} q(x) dx + e^{-\int p(x) dx}C \end{align*}

説明

y+p(x)y=q(x)y^\prime+p(x)y=q(x)形の微分方程式を一次線形微分方程式という。ここで、q(x)=0q(x)=0ならば直接変数分離が可能で、分離可能な微分方程式の解法に従って解けば良い。しかし、q(x)0q(x) \ne 0の場合は直接変数分離ができない。変数分離可能な微分方程式を説明する際に、変数分離ができなければ可能にして解くと言った。その方法の一つがまさに積分因子法method of integrating fatorである。

証明

まず、与えられた微分方程式を見てみよう

dydx+p(x)y=q(x) \dfrac{dy}{dx}+p(x)y=q(x)

この状態では変数分離ができないので、目的はこの方程式を分離可能にすることである。まずは両辺にλ(x)\lambda (x)を掛けよう。

λ(x)dydx+λ(x)p(x)y=λ(x)q(x) \lambda (x) \dfrac{dy}{dx} + \lambda (x) p(x) y = \lambda (x) q(x)

この時掛けたλ(x)\lambda (x)が次の条件

ddx(λ(x)y)=λ(x)dydx+λ(x)p(x)y \dfrac{d}{dx} \left( \lambda (x) y \right) = \lambda (x) \dfrac{dy}{dx} + \lambda (x) p(x) y

を満たす関数だとしよう。すると、与えられた微分方程式がddx(λ(x)y)=λ(x)q(x)\dfrac{d}{dx} \left( \lambda (x) y \right)=\lambda (x) q(x)として分離可能な形に変わる。そのまま両辺に積分を取れば次のようになる。

ddx(λ(x)y)=λ(x)q(x)dx    λ(x)y=λ(x)q(x)dx+C    y=1λ(x)[λ(x)q(x)dx+C]=1λ(x)λ(x)q(x)dx+Cλ(x) \begin{align*} && \int \dfrac{d}{dx} \left(\lambda (x) y \right) &= \int \lambda (x) q(x) dx \\ \implies && \lambda (x) y&=\int \lambda (x) q(x) dx +C \\ \implies && y&=\dfrac{1}{\lambda (x)} \left[ \int \lambda (x) q(x) dx +C \right] \\ && &=\dfrac{1}{\lambda (x)} \int \lambda (x) q(x) dx + \dfrac{C}{\lambda (x)} \end{align*}

与えられた微分方程式にλ(x)\lambda (x)を掛けて、xxに対するyyの一般式を得た。ここで、積分定数CCを含む項に注意が必要だ。例えば、不定積分で複数の積分定数が出た場合、全部一つの新しい積分定数として一般的にC1+C2=C3C_{1}+C_2=C_{3}と表されることに気をつけろ。しかし、λ(x)1C\lambda (x) ^{-1}Cでは、λ(x)\lambda (x)は定数でないので、項全体を新しい定数C1C_{1}として表すことはできない。

残る問題は、この微分方程式を解けるようにしてくれるλ(x)\lambda (x)の正体が何であるかである。λ(x)\lambda (x)の条件から以下を得る。

ddx(λ(x)y)=dλ(x)dxy+λ(x)dydx=λ(x)dydx+λ(x)p(x)y \dfrac{d}{dx} \left( \lambda (x) y \right) = \dfrac{d \lambda (x)}{dx}y + \lambda (x) \dfrac{dy}{dx}=\lambda (x) \dfrac{dy}{dx} + \lambda (x) p(x) y

従って、

dλ(x)dx=λ(x)p(x)    1λ(x)dλ(x)=p(x)dx    lnλ(x)=p(x)dx+C1    λ(x)=Cep(x)dx \begin{align*} && \dfrac{d \lambda (x)}{dx}&=\lambda (x) p(x) \\ \implies && \dfrac{1}{\lambda (x) } d \lambda (x)&=p(x) dx \\ \implies && \ln \lambda (x) &=\int p(x) dx +C_{1} \\ \implies &&\lambda (x) &= Ce^{\int p(x) dx} \end{align*}

この時、積分定数C1C_{1}はどの道削除されるので、λ(x)=ep(x)dx\lambda (x) = e^{\int p(x) dx}と書いても問題ない。最初にλ(x)\lambda (x)を両辺に掛けたことを考えれば、積分定数がただちに削除されることが簡単にわかる。これで得られたλ(x)\lambda (x)を先に得たy(x)y(x)に代入すれば、

y(x)=1ep(x)dx[ep(x)dxq(x)dx+C]=ep(x)dxep(x)dxq(x)dx+ep(x)dxC \begin{align*} y(x)&=\dfrac{1}{e^{\int p(x) dx}} \left[ \int e^{\int p(x) dx} q(x) dx +C \right] \\ &=e^{-\int p(x) dx}\int e^{\int p(x) dx} q(x) dx + e^{-\int p(x) dx}C \end{align*}


一見、この方法で全ての一次常微分方程式の解を求めることができそうだが、解に登場する不定積分を計算できなければ不可能である。つまり、p(x)dx\displaystyle \int p(x) dxep(x)dxq(x)dx\int e^{\int p(x) dx} q(x) dx が存在する場合にのみ解を求めることができる。


  1. William E. Boyce, Boyce’s Elementary Differential Equations and Boundary Value Problems (11th Edition, 2017), p24-31 ↩︎