全微分、完全微分
📂多変数ベクトル解析全微分、完全微分
定義
多変数関数f:Rn→Rが与えられたとしよう。変数x=(x1,x2,…,xn)の変化に伴うf(x)の変化を以下のようにdfと表し、これをfの全微分total differentialまたは完全微分exact differentialという。
df=∂x1∂fdx1+∂x2∂fdx2+⋯+∂xn∂fdxn
説明
上記の定義は、変数xの変化に伴うfの値の変化を
各成分の変化量dxiに、各成分の変化に伴うfの変化率∂xi∂fを掛けた∂xi∂fdxiを全て足し合わせることと考えるという意味だ。以下の式を通して、この表記が直観的で便利であることが分かる。f=f(x,y,z)とするとき、
dxdf=∂x∂fdxdx+∂y∂fdxdy+∂z∂fdxdz=∂x∂f
物理学では、次のような形でも頻繁に登場する。(x(t),y(t),z(t))について、
dtdf=∂x∂fdtdx+∂y∂fdtdy+∂z∂fdtdz
導出
2変数関数について、次のような方法で(1)を導出できる。z=f(x,y)が与えられたとしよう。zの全微分は変数x、yが変化するときのzの変化量であるから、以下のように表される。
dz=f(x+dx,y+dy)−f(x,y)
ここで、右辺にf(x,y+dy)を引いて足してから式を整理すると、以下のようになる。
dz=f(x+dx,y+dy)−f(x,y+dy)+f(x,y+dy)−f(x,y)=[f(x+dx,y+dy)−f(x,y+dy)]+[f(x,y+dy)−f(x,y)]=dxf(x+dx,y+dy)−f(x,y+dy)dx+dyf(x,y+dy)−f(x,y)dy≈∂x∂fdx+∂y∂fdy=∂x∂zdx+∂y∂zdy
■