級数の絶対収束と条件収束
定義1
級数 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} a_{n}$に対して、 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} |a_{n}|$が収束すれば、 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} a_{n}$が 絶対収束absolute convergenceすると言う。
説明
注意すべき点は、与えられた級数ではなく、「級数の各項に絶対値をかけた級数」が収束する時に、与えられた級数が絶対収束すると言うことだ。これは、収束する級数が絶対収束しない場合もあることを意味する。交代調和級数を考えると、この級数は収束するが、調和級数は収束しない。このような場合、交代調和級数が条件収束すると言う。
条件収束
級数 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} a_{n}$が収束するが、 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} |a_{n}|$が発散すると、 $\sum\limits_{n=0}^{\infty} a_{n}$が 条件収束conditional convergenceすると言う。
定理
級数 $\sum a_{n}$が絶対収束すれば、収束する。
証明
不等式 $0 \le a_{n} + |a_{n}| \le 2 |a_{n}|$が成立する。 $\sum a_{n}$が絶対収束するので、 $\sum 2 |a_{n}|$も収束する。それで、比較判定法により $\sum a_{n} + |a_{n}|$も収束する。したがって、 $\sum a_{n}$は収束する二つの級数の差として以下のように収束する。
$$ \sum a_{n} = \sum (a_{n} + |a_{n}|) - \sum |a_{n}| \lt \infty $$
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James Stewart, Daniel Clegg, and Saleem Watson, Calculus (early transcendentals, 9E), p769-771 ↩︎