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選択公理が加わったツェルメロ-フレンケル集合論 📂集合論

選択公理が加わったツェルメロ-フレンケル集合論

ツェルメロの公理系

  • [1] 外延公理: $$ \forall A \forall B ( \forall x ( x \in A \iff x \in B) ) $$ 任意の二つの集合 $A$、$B$が同じ要素を持つ場合、二つの集合は等しいと言い、$A = B$と表される。
  • [2] 空集合公理: $$ \exists X \forall x \left( \lnot \left( x \in X \right) \right) $$ どの要素も持たない集合 $X$ が存在し、この集合 $X$ を空集合と定義する。
  • [3] 対公理: $$ \forall A \forall B \exists U ( a \in A \land b \in B ) $$ 任意の二つの集合 $A$、$B$に対し、$A$ と $B$ を要素として持つ集合 $U$ が存在する。
  • [4] 分類公理形: $$ \forall X \exists A \forall a \left( a \in A \iff ( a \in X \land p(a)) \right) $$ 任意の集合 $X$ に対し、性質 $p$ を持つ要素だけで構成される部分集合 $A$ が存在する。
  • [5] 合併公理: $$ \forall X \left( \exists U \left( \forall a \left( a \in x \land x \in X \implies a \in U \right) \right) \right) $$ 任意の集合 $X$ に対し、$X$ の全ての要素の要素を含む集合 $U$ が存在する。
  • [6] 冪集合公理: $$ \forall X \exists P \forall A ( A \subset X \implies A \in P) $$ 任意の集合 $X$ に対し、$X$ の全ての部分集合を要素として持つ集合 $P$ が存在する。
  • [7] 無限公理: $$ \exists U \left( \emptyset \in U \land \forall X ( X \in U \implies S(X) \in U) \right) $$ 空集合 $X$ と、$S(X)$ を要素として持ち、さらにそれが $S(X)$ も要素として持つ集合 $U$ が存在する。

ツェルメロの公理系は、ラッセルのパラドックスによって明らかになった集合論の問題を補うために導入された公理系で、上記の7つの公理を含む。これに対し、カントールが提唱した集合論は 単純な集合論naive Set theoryとも呼ばれる。ツェルメロの公理系は、カントールの集合論とは異なり、自然言語で定義された多くの概念を数理論理で明確に定義し、その存在を固める公理を含んでいる。空集合、合併、交差、冪集合などは既に十分自然な概念として扱われていたが、実際にはそれだけでは不十分であった。

ツェルメロ-フレンケルの公理系

  • [8] 正則性公理: $$ \forall X \left( \exists x_{0} ( x_{0} \in X ) \implies \exists y ( y \in X \land \lnot \exists x ( x \in y \land x \in X )) \right) $$ 全ての集合 $X \ne \emptyset$ は自分自身と互いに素な要素を持つ。
  • [9] 置換公理形: $$ \forall X \left( \forall x \in X \exists ! y \left( p(x,y) \right) \implies \exists Y \forall x \in X \exists y \in Y \left( p(x,y) \right) \right) $$ 全ての関数に対する値域が存在する。

これらの二つの公理を加えたものがツェルメロ-フレンケルの公理系で、ZF公理系と略される。

選択公理が追加されたツェルメロ-フレンケルの公理系

  • [10] 選択公理: $$ \forall U \left( \emptyset \notin U \implies \exists f: U \to \bigcup_{X \in U \\ f(X) \in X } U \right) $$ 全ての空集合ではない集合の集合 $U$ に対し、$U$ の全ての要素から一つの要素を選ぶ選択関数 $f$ が存在する。

最後に、選択公理が追加されたツェルメロ-フレンケルの公理系を ZFC公理系 と略して呼ぶ。選択公理は一見当たり前のように思われるが、選択公理を受け入れたときに得られる結果が非常に有用であるため、通常は受け入れられる。現代の主流の数学では集合論の公理系といえばZFC公理系を意味すると見なしても問題ない。選択公理が実際に真か偽かはともかく、ZFの下では矛盾が生じないため、拒否しても構わないが、そのようなことはほとんどない。