フーリエ級数の定積分
📂フーリエ解析フーリエ級数の定積分
定理
周期が2Lの周期関数fが区間[−L, L)でピースワイズ連続だとする。そうすると、fの定積分は以下のように表せる。
∫t1t2f(t)dt=c0(t2−t1)+n=0∑inπLcn(eiLnπt2−eiLnπt1)
この時、c0, cnは複素フーリエ係数である。
つまり、f(t)の定積分はf(t)のフーリエ級数の各項を定積分して足したものと同じである。右辺が左辺のフーリエ級数ではないことに注意が必要である。
証明
関数Fを以下のように定義する。
F(t):=∫0tf(s)ds−c0t
すると、Fが周期が2Lの周期関数であることが示せる。
F(t+2L)=∫0t+2Lf(s)ds−c0(t+2L)=∫0tf(s)ds+∫t2Lf(s)ds−c0t−2Lc0=∫0tf(s)ds−c0t=F(t)
fがピースワイズ連続であるので、Fは連続である。したがって、Fはディリクレ条件を満たし、フーリエ級数に展開できる。
F(t)=C0+n=0∑CneiLnπt
定数項を別にする理由は後でわかる。係数を求めると、
Cn=2L1∫−LLF(t)e−iLnπtdt=inπ−L2L1[F(t)eiLnπt]−LL+inπL2L1∫−LLF′(t)e−iLnπtdt=inπL2L1∫−LL(f(t)−c0)e−iLnπtdt=inπL2L1∫−LLf(t)e−iLnπtdt−inπL2Lc0∫−LLe−iLnπtdt=inπL2L1∫−LLf(t)e−iLnπtdt=inπLcn
したがって、
F(t)=C0+n=0∑inπLcneiLnπt
F(t)の定義を用いてf(t)の定積分を求めると、
∫t1t2f(t)dt=∫0t2f(t)dt−∫0t1f(t)dt=F(t2)−F(t1)+c0(t2−t1)=C0+n=0∑inπLcneiLnπt2−C0+n=0∑inπLcneiLnπt1+c0(t2−t1)=c0(t2−t1)+n=0∑inπLcn(eiLnπt2−eiLnπt1)
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文書の先頭でも述べた通り、右辺が∫t1t2f(t)dtのフーリエ級数ではないことに注意しよう。∫t1t2f(t)dt−c0(t2−t1)のフーリエ級数はn=0∑inπLcn(eiLnπt2−eiLnπt1)である。