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電流と電流密度 📂電磁気学

電流と電流密度

定義1

導線のどこかの点を単位時間ごとに通過する電荷の量を電流currentと定義し、$I$と表記する。それゆえ、左に動く負の電荷と右に動く正の電荷は同じ符号の電流である。

単位時間あたりに流れるクーロンの量をアンペアampereと言う。

$$ 1 [A] = 1 [C/s] $$

説明

アンペールはフランス人で、実際の発音は[アンペール]に近い。だからアンペールの法則もアンペールの法則だが、単位として使う場合はアンペアと言わなければならない。

$I$という記号は、currentのintensityの最初の文字を取ったものである。

線電流密度

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上の図は、線電荷密度が$\lambda$である電荷が導線を$\mathbf{v}$の速度で移動する状況を示している。距離=速さx時間であるから、単位長さは$v\Delta t$である。単位長さに含まれる電荷量は、単位長さと線電荷密度をかけて求める。

$$ \Delta q=\lambda v \Delta t $$

電流は単位時間あたりに通過する電荷の量なので、$\Delta t$間に点$P$を通過する電荷量は、

$$ I=\dfrac{\Delta q}{\Delta t}=\dfrac{\lambda v \Delta t}{\Delta t}=\lambda v $$

電流はベクトルなので、方向まで含めて表記すると、次のようになる。

$$ \mathbf{I}=\lambda \mathbf{v} $$

電流が導線を通って流れる際には、その方向が明らかである(導線と平行な方向である)ため、別に言及する必要はない。しかし、表面上や体積内で流れる電流を扱う場合には、その方向をはっきりと言う必要がある。電流が流れる導線が外部磁場$\mathbf{B}$によって受ける磁力は、

$$ \mathbf{F}_{\text{mag}}=\int (\mathbf{v} \times \mathbf{B} ) dq=\int (\mathbf{v} \times \mathbf{B} ) \lambda dl=\int (\mathbf{I} \times \mathbf{B}) dl $$

ここで、$\mathbf{I}$と$d\mathbf{l}$の方向が同じであるから、

$$ \mathbf{F}_{\text{mag}} = \int I (d\mathbf{l} \times \mathbf{B}) $$

導線で流れる電流の大きさが一定であるため、積分の外に出すことができる、

$$ \mathbf{F}_{\text{mag}}=I \int (d\mathbf{l} \times \mathbf{B}) $$

表面電流密度

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表面で流れる電流は、表面電流密度surface current density $\mathbf{K}$で説明される。単位長さの幅を通過する電流を表面電流密度と言い、数式では次のように表される。

$$ \mathbf{K}=\dfrac{d \mathbf{l}} {dl_\perp} $$

この概念をもっと簡単に理解するための説明は、$\mathbf{I}=\dfrac{d\mathbf{q} }{dt}$なので、

$$ \dfrac{d \mathbf{I} }{dl_{\perp}}=\dfrac{d^2 \mathbf{q}}{dl_{\perp} dt} $$

したがって、表面電流密度は単位時間あたり、単位幅あたりに通過する電荷の量である。表面電荷密度が$\sigma$、電荷の速度が$\mathbf{v}$の時、表面電流密度は、

$$ \mathbf{K}=\sigma \mathbf{v} $$

表面電流が外部磁場によって受ける磁力は、

$$ \mathbf{F}_{\text{mag}}=\int(\mathbf{v}\times \mathbf{B})\sigma da=\int (\mathbf{K} \times \mathbf{B})da $$

上で見た電流の式から、電流$\mathbf{I}$の代わりに表面電流密度$\mathbf{K}$を入れた形である。

体積電流密度

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同様に、電流がある空間で流れる場合は、体積電流密度volume current density $\mathbf{J}$で説明される。単位面積あたりに流れる電流を体積電流密度と言い、数式では次のように表される。

$$ \mathbf{J}=\dfrac {d\mathbf{I}} {da_{\perp}} $$

したがって、逆に面$\mathcal{S}$を通る電流$I$は、一般的に次のように表すことができる。

$$ I = \int_{\mathcal{S}}J da_{\perp} = \int_{\mathcal{S}}\mathbf{J}\cdot d\mathbf{a} $$

すると、発散定理によって、体積$\mathcal{V}$から出て行った総電荷量は、次のようになる。

$$ \oint_{\mathcal{S}}\mathbf{J}\cdot d\mathbf{a} = \int_{\mathcal{V}} (\nabla \cdot \mathbf{J}) d \tau $$

同様に、$\dfrac {d\mathbf{I}} {da_{\perp}}=\dfrac{d^2 \mathbf{q} } {da_{\perp}{dt}}$だから、体積電流密度は単位時間あたり、単位面積あたりに通過する電荷の量である。体積電荷密度が$\rho$で、電荷の速度が$\mathbf{v}$の場合、体積電流密度は、

$$ \mathbf{J}=\rho \mathbf{v} $$

体積電流が受ける磁力は、

$$ \mathbf{F}_{\text{mag}}=\int (\mathbf{v} \times \mathbf{B} )\rho d\tau = \int (\mathbf{J} \times \mathbf{B} ) d\tau $$


  1. David J. Griffiths, 基礎電磁気学(Introduction to Electrodynamics, 金甚成 訳) (第4版, 2014), p234-241 ↩︎