一般化されたランダムウォーク
📂確率論一般化されたランダムウォーク
定義

確率過程 {Xn} の状態空間が整数の集合 {⋯,−2,−1,0,1,2,⋯} で、状態 0 から始まるとする。次のステップで 1 だけ減少する確率がp、1 だけ増加する確率が(1−p) のとき、{Xn} を一般化されたランダムウォークという。
説明
ランダムウォークは確率過程の中でも非常に単純な例で、通常、左右に動く確率を同じにする。一般化されたランダムウォークは、その確率を変えるだけのものだ。単純に考えても、左右に動く確率が同じなら、開始状態 0 を中心に行ったり来たりすることが難しくないと想像できる。しかし、一方が大きい場合は、時間が経つにつれてその方向へ発散してしまうだろう。
一方で、状態空間を有限に制限したケースとしては、ギャンブラーの破産問題がある。
定理
p=21 ならば状態 0 はリカレントで、p=21 ならば状態 0 はトランジェントだ。
証明
n=1∑∞p00(n)=∞ ならば 0 はリカレントで、n=1∑∞p00(n)<∞ ならば 0 はトランジェントだ。まず、状態 0 から奇数回だけ動いて0 に戻る確率は確実に 0 なので
p00(2n−1)=0
である。2n 回だけ動いて 0 に戻ったということは正確に左に n 回、右に n 回動いたという意味なので
p00(2n)=(n2n)pn(1−p)n
である。今、
p00(2n)=(n!)2(2n)!(p(1−p))n
これが発散するか収束するかを確認すれば十分だ。
スターリングの近似: n→∞limnn+1/2e−n2πn!=1
階乗を計算するのが難しく、n は無限大を想定しているので、スターリングの近似を使用する。
p00(2n)≈===(nn+1/2e−n2π)2(2n)2n+1/2e−2n2π(p(1−p))n(nn)2n2π(2n)2n2n(p(1−p))nn2nn2π4nn2n2n(p(1−p))nπn(4p(1−p))n
ケース 1. p=21
p-級数判定法: n=1∑∞np1 が収束するのは p>1 と同値である。
p-級数判定法により、n=1∑∞πn(4p(1−p))n=π1n=1∑∞n1 は発散し、状態0 はリカレントだ。
ケース 2. p=21
比判定法: r=n→∞lim∣an∣∣an+1∣ において r<1 ならば n=1∑∞an は絶対収束し、r>1 ならば n=1∑∞an は発散する。
n→∞limπn(4p(1−p))nπ(n+1)(4p(1−p))n+1=n→∞lim(n+1)/n4p(1−p)=4p(1−p)<1
よって、比判定法により
n=1∑∞πn(4p(1−p))n
は収束し、状態 0 はトランジェントだ。
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参照