リーマン(-スティルチェス)積分可能の必要十分条件
📂解析学リーマン(-スティルチェス)積分可能の必要十分条件
この記事は、リーマン-シュティルチェス積分を基に書かれている。α=α(x)=xとすれば、リーマン積分と同じだ。
定理
関数fが[a,b]でリーマン(-シュティルチェス)積分可能であるための必要十分条件は、全てのϵ>0に対して、U(P,f,α)−L(P,f,α)<ϵを満たす[a,b]の分割Pが存在することである。
f∈R(α) on [a,b]⟺∀ϵ>0,∃P s.t. U(P,f,α)−L(P,f,α)<ϵ
積分可能性を示す際に実際に使われる条件である。
証明
以下が与えられているとしよう。
- f:[a,b]→Rが有界である。
- α:[a,b]→Rは単調増加関数である。
- Pを[a,b]の分割としよう。
(⟹)
fがリーマン(-シュティルチェス)積分可能な関数であると仮定しよう。ϵ>0が与えられたとする。すると、下積分と積分の定義によって、全ての分割Pに対して次が成り立つ。
L(P,f,α)≤∫abfdα=∫abfdα
よって、次を満たす分割P1が存在する。
∫abfdα−L(P1,f,α)<2ϵ
同様に次も成り立つ。
∫abfdα=∫abfdα≤U(P,f,α)
よって、次を満たす分割P2が存在する。
U(P2,f,α)−∫abfdα<2ϵ
今、P∗をP1とP2の共通細分としよう。すると、細分の上(下)合は分割よりも小さく(大きく)、(2)、(3)によって次が成り立つ。
U(P∗,f,α)≤U(P2,f,α)<∫abfdα+2ϵ<L(P1,f,α)+2ϵ+2ϵ=L(P1,f,α)+ϵ≤L(P∗,f,α)+ϵ
よって、U(P∗,f,α)−L(P∗,f,α)<ϵを満たす分割P∗が存在する。
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(⟸)
全てのϵ>0に対して、U(P,f,α)−L(P,f,α)<ϵを満たす[a,b]の分割Pが存在すると仮定しよう。上積分、下積分の定義によって次の式が成り立つ。
L(P,f,α)≤∫abfdα≤∫abfdα≤U(P,f,α)
この時A<B<C<DであればC−B<D−Aであるので、仮定と上の式を利用して次のような式を得る。
0≤∫abfdα−∫abfdα<ϵ
全ての正数ϵに対してこの式が満足されるならば、次が成立しなければならない。
∫abfdα−∫abfdα=0
よって、次が成り立ち、これはfが積分可能であるという定義であるので、fは積分可能である。
∫abfdα=∫abfdα
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系
(a) ある分割Pとε>0に対して(1)が成立するならば、Pの全ての細分についても(1)が成立する。
(b) 分割P={x0,⋯,xn}に対して(1)が成立し、それをsi,ti∈[xi−1,xi]とする。すると、以下の不等式が成立する。
i=1∑n∣f(si)−f(ti)∣Δαi<ε
(c) fが積分可能で**(b)**の仮定が成立するならば、以下の式が成立する。
i=1∑nf(ti)Δαi−∫abf(x)dα(x)<ε
証明
(a)
P∗をPの細分としよう。すると、細分の性質により次が成り立つ。
U(P∗,f,α)−L(P∗,f,α)<U(P,f,α)−L(P,f,α)<ε
よって、**(a)**が成立する。
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(b)
x∈[xi−1,xi]に対して次のようにしよう。
Mi=supf(x)andmi=inff(x)
すると、全てのsi,ti∈[xi−1,xi]に対して次が成り立つ。
∣f(si)−f(ti)∣<Mi−mi,i=1,⋯,n
よって、上合、下合の定義により次が成立する。
i=1∑n∣f(si)−f(ti)∣Δαi<i=1∑n(Mi−mi)Δαi=U(P,f,α)−L(P,f,α)<ε
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(c)
先の証明で使用した記法を続けよう。上合、下合の定義により以下の式が成立することは自明だ。
L(P,f,α)≤i=1∑nf(ti)Δαi≤U(P,f,α)
また、積分の定義により以下の式も明白に成立する。
L(P,f,α)≤∫abf(x)dα(x)≤U(P,f,α)
よって、上の二つの式により次が成立する。
i=1∑nf(ti)Δαi−∫abf(x)dα(x)<ε
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