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等距離写像 📂バナッハ空間

等距離写像

定義

二つの距離空間 $(X,\ d_X), (Y,\ d_Y)$に対して、下の条件を満たす写像 $f : X \to Y$が存在するなら、$X$と$Y$が等距離isometricだと言い、$X \approx Y$と記される。また、その写像 $f$を等距離写像isomertic map, isometryという。

$$ d_X(x_1,\ x_2) =d_Y\big( f(x_1),\ f(x_2) \big),\quad \forall\ x_1,x_2\in X $$

説明

名前が示す通り、等距離写像は距離を保持する写像である。従って、等距離写像が存在する二つの空間は「事実上」同じであると見なせる。また、等距離写像は定義から自然に単射になる。

ノルム空間で

もし$X$と$Y$がノルム空間であれば、以下の距離が定義されているため、等距離写像はノルムを保持する写像になる。

$$ d_X(x_1,x_2) = \|x_1-x_2\|_X $$

定義1

$(X, \left\| \cdot \right\|_{X}), (Y, \left\| \cdot \right\|_{Y})$をノルム空間としよう。$X$と$Y$に対して、下の条件を満たす線形作用素 $L\ : X \to Y$が存在するならば、$L$を等距離同型写像isometric isomorphismという。また、$X$と$Y$が等距離同型isometrically isomorphicであるという。

$$ \|x\|_X = \|L(x)\|_Y, \quad \forall\ x\in X $$

性質

等距離写像について、以下の事実が成り立つ。

証明

$x_1,x_2\in X$であり、$f(x_1)=f(x_2)$とする。すると、距離の定義から$d_Y\big( f(x_1),\ f(x_2) \big)=0$が成立する。$f$は距離を保持するので、$d_X(x_1,\ x_2)=0$が成立し、同様に距離の定義から$x_1=x_2$が成立する。$f(x_1)=f(x_2)$ならば、$x_1=x_2$なので、$f$は単射である。


  1. Robert A. Adams and John J. F. Foutnier, Sobolev Space (2nd Edition, 2003), p5 ↩︎