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除法定理の証明 📂抽象代数

除法定理の証明

定理 1

$a_{n} \ne 0$と$b_{m} \ne 0$、そして$n > m > 0$について、$F [ x ]$の二つの要素を $$ f(x) = a_{n} x^{n} + \cdots + a_{1} x + a_{0} \\ g(x) = b_{m} x^{m} + \cdots + b_{1} x + b_{0} $$ としよう。すると$f(x) = g(x) q(x) + r(x)$を満たす$q(x), r(x) \in F [ x ]$が一意に存在する。$r$の次数は$m$より小さい。

説明

定理がなくても知ることができるが、代数的に厳密な証明がその意義である。

証明

$$ S : = \left\{ f(x) - g(x) s(x) \ : \ s(x) \in F [ x ] \right\} $$ とする。$0 \in S$とは$f(x) - g(x) s(x) = 0$を満たす$s(x)$が存在するということだ。この場合、ただ$q(x) = s(x)$と$r(x) = 0$を設定すればよく、それ以外にも成立するかチェックする必要がある。


Part 1. 存在性

$S$で最も次数が低い多項式を$r(x)$とする。これは、ある$q(x) = s(x)$に対して$r(x) = f(x) - g(x) s(x)$であるということだ。

$r(x) := c_{t} x^{t} + \cdots + c_{1} x + c_{0}$に対して$t \ge m$と仮定すると $$ \begin{align*} & f(x) - q(x) g(x) - {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} g(x) \\ =& r(x) - {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} g(x) \\ =& r(x) - {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} \left( b_{m} x^{m} + \cdots + b_{1} x + b_{0} \right) \\ =& r(x) -c_{t} x^{t} - {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} \left( b_{m-1} x^{m-1} + \cdots + b_{1} x + b_{0} \right) \end{align*} $$ したがって、$\displaystyle f(x) - q(x) g(x) - {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} g(x)$の次数は$t$より小さい。しかし $$ f(x) - \left[ q(x) + {{c_{t}} \over {b_{m}}} x^{t-m} \right] g(x) \in S $$ よって、$r(x)$は$S$内の多項式の中で最も次数が低いという前提と矛盾する。


Part 2. 一意性

$q_{1} \ne q_{2}$と$r_{1} \ne r_{2}$が$\begin{cases} f(x) = g(x) q_{1} (x) + r_{1} (x) \\ f(x) = g(x) q_{2} (x) + r_{2} (x) \end{cases}$だと仮定し、それらを引き算すると $$ g(x) [ q_{2}(x) - q_{1}(x) ] = r_{2}(x) - r_{1}(x) $$ $r_{2}(x) - r_{1}(x)$の次数は$g( X)$より小さいので、$q_{2} - q_{1} = 0$でなければならない。したがって、仮定に矛盾することになる。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p210. ↩︎