熱力学の第一法則
法則
熱エネルギーが$Q$の系に対して働ける仕事が$W$の時、内部エネルギー$U$に対して次の式が成り立つ。
$$ d U = \delta Q + \delta W $$
$\delta$は不完全微分inexact differentialを示している。
説明
これらは綺麗な形で原始関数が存在しないため、線積分を通して計算しなければならない。内部エネルギーの変化だけでは具体的に熱エネルギーがどれだけ変わったのか、仕事がどれだけ変わったのかわからないことを意味する。例えば$10 = 2 + 8$でも$10 = -5 + 15$でも左辺は同じく$10$であることを考えると役立つだろう。
しかし、これはただの熱力学第一法則の限界に過ぎないという話であり、言いたいことの本質ではない。逆に言えば、熱エネルギーと仕事がどうであれ、内部エネルギーの変化は綺麗に計算できるということだ。熱力学第一法則から導かれる式には次のようなものがある。
式1
ピストンが押した距離$dx$と力$F$について$\delta W = F dx$
実は、この形は熱力学ではほとんど使用されない。ピストンの面積$A$に対して圧力$p$と力$F$は$F = pA$と表せるので、$A dx = - dV$である。
式2
圧力$p$と体積$V$について$\delta W = - p d V$
上とは異なり、この形はかなり頻繁に使用されるので、特に符号に注意して覚えておくこと。