二階線形非同次微分方程式の一般解
補助定理1
以下の非同次/同次二階線形微分方程式を考えよう。
$$ \begin{align} y^{\prime \prime}+p(t)y^\prime + q(t)y &=g(t) \label{eq1} \\ y^{\prime \prime}+p(t)y^\prime + q(t)y &=0 \label{eq2} \end{align} $$
ここで、$y_{1} (t)$と$y_{2} (t)$が非同次微分方程式$\eqref{eq1}$の解であり、$y_{1}(t)$と$y_{2}(t)$が同次微分方程式$\eqref{eq2}$の基本解集合だとする。そうすると、以下の式が成り立つ。
$$ y_{1} (t) – y_{2} (t)= c_{1}y_{1} (t)+c_2y_{2}(t) $$
ここで、$c_{1}, c_{2}$は定数である。
証明
微分演算子$L$を以下のように定義する。
$$ L[y] := y^{\prime \prime} + p(t)y^\prime + q(t)y $$
すると、$y_{1}$と$y_{2}$が非同次微分方程式$\eqref{eq1}$の解であるため、
$$ L[y_{1}]=g(t) \quad \text{and} \quad L[y_{2}]=g(t) $$
二つの式を引き算すると$L[y_{1}]-L[y_{2}]=g(t)-g(t)=0$である。この時、$L$は線形演算子であるため、以下を満たす。
$$ L[y_{1}] - L[y_{2}] = L[ y_{1} – y_{2}]=0 $$
$y_{1} – y_{2}$が$L[y_{1} – y_{2}]=0$を満たすため、$y_{1} – y_{2}$は同次微分方程式$\eqref{eq2}$の解である。
また、同次微分方程式のどんな解も基本集合の線形結合で表すことができる。そのため、以下が成り立つ。
$$ y_{1} – y_{2}=c_{1}y_{1} + c_2y_{2} $$
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この補助定理を通して、非同次微分方程式の一般解を導出することができる。
定理
以下の非同次/同次二階線形微分方程式を考えよう。
$$ \begin{align} y^{\prime \prime}+p(t)y^\prime + q(t)y &=g(t) \tag{1} \\ y^{\prime \prime}+p(t)y^\prime + q(t)y &=0 \tag{2} \end{align} $$
ここで、$\phi (t), Y(t)$が非同次微分方程式$\eqref{eq1}$の解であり、$y_{1}, y_{2}$が同次微分方程式$\eqref{eq2}$の基本解集合だとする。そうすると非同次微分方程式$\eqref{eq2}$の一般解は以下のようになる。
$$ \phi (t) = c_{1}y_{1} (t) +c_2y_{2} (t) +Y(t) $$
ここで、$c_{1}, c_{2}$は定数である。
説明
$c_{1}y_{1} + c_2y_{2}$を補助解と呼ぶ。$Y$を特殊解と呼ぶ。以上の二つの定理から、非同次微分方程式の一般解を求めるプロセスは以下のようになる。
- 非同次微分方程式を同次微分方程式と仮定し、その一般解を求める。これを補助解と呼ぶ。
- 非同次微分方程式を満たす任意の解を一つ求める。これを特殊解と呼ぶ。
- 補助解と特殊解の和が非同次微分方程式の一般解となる。
証明
$\phi$と$Y$を非同次微分方程式$\eqref{eq2}$の任意の解とする。補助定理で$y_{1}, y_{2}$の代わりに$\phi, Y$を入れる。そうすると、次の結果が得られる。
$$ \phi – Y = c_{1}y_{1} +c_2y_{2} \implies \phi (t) = c_{1}y_{1} (t) +c_2y_{2}(t) +Y (t) $$
したがって、非同次微分方程式の一般解は、同次微分方程式の一般解と非同次微分方程式の任意の特殊解の和として表される。
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William E. Boyce, Boyce’s Elementary Differential Equations and Boundary Value Problems (11th Edition, 2017), p134 ↩︎