完全弾性衝突と運動エネルギーの保存
📂物理学完全弾性衝突と運動エネルギーの保存
定理
反発係数が e が 1 のとき、完全弾性衝突という。完全弾性衝突には重要な特徴が二つある。
(a) 衝突前後の各物体の運動エネルギー合計が保存される。
(b) 二つの物体の質量が同じなら、衝突後の速度が互いに交換される。
証明
(a)
運動量保存の法則により、
m1v1+m2v2=m1v1′+m2v2′
⟹m1v1−m1v1′=m2v2′−m2v2
⟹m1(v1−v1′)=m2(v2′−v2)
完全弾性衝突の場合、反発係数は e=1 なので、
e=v1−v2v2′−v1′=1
⟹v2′−v1′=v1−v2
⟹v1+v1′=v2+v2′
左辺に右辺に同じものをかけても、式は成り立つ。したがって、(1)の左辺、右辺に(2)の左辺、右辺をそれぞれかけると、
m1(v1−v1′)(v1+v1′)=m2(v2′−v2)(v2′−v2)
⟹m1(v12−v1′2)=m2(v2′2−v22)
⟹21m1v12−21m1v1′2=21m2v2′2−21m2v22
⟹21m1v12+21m2v22=21m1v1′2+21m2v2′2
つまり、衝突前後で各物体の運動エネルギー合計が保存される。
(b)
質量が同じ場合、m1=m2 であるため、(1) は、
v1−v1′=v2′−v2
反発係数から出た式は、
v1+v1′=v2+v2′
二つの式を足すと、
2v1=2v2′
⟹v1=v2′
二つの式を引くと、
2v1′=2v2
⟹v1′=v2
したがって、二つの物体の衝突前後の速度が交換される。