距離空間での球と開集合閉集合
定義
距離空間 $\left( X, d \right)$ とするとき、$a \in X$ であり、$r > 0$ とする。
- 中心が $a$ で、半径が $r$ の開いた球open Ballを $B_{d} (a,r) = \left\{ x \in X \ | \ d(a,x) < r \right\}$ という。
- 中心が $a$ で、半径が $r$ の閉じた球closed Ballを $B_{d} [a,r] = \left\{ x \in X \ | \ d(a,x) \le r \right\}$ という。
- $O \subset X$ が開いた球の和集合なら、$O$ を $X$ での開集合open setという。
- $C \subset X$ に対し、$X \setminus C$ が開集合なら、$C$ を $X$ での閉集合closed setという。
説明
開集合と閉集合は別に定義できるが、本質的には同じだ。
球とは区間、開区間、閉区間を一般化した概念であり、区間も $1$次元の球だと考えると、これは自然な話だ。もちろん、ユークリッド空間 $\mathbb{R}$ の次元に対する一般化に止まらず、距離がきちんと与えられればどこでもしっかり定義される。
開集合と閉集合は一般的に以下の性質を満たす。
性質
全空間 $X$ 上の開集合を $O_{\alpha}$ 、閉集合を $C_{\alpha}$ とする。
- [1]: $X$ と $\emptyset$ は開いていると同時に閉じている。
- [2]: 開集合の和集合 $\displaystyle \bigcup_{\alpha \in \forall} O_{\alpha}$ は $X$ で開集合である。
- [3]: 開集合の有限交差 $\displaystyle \bigcap_{i = 1}^{n} O_{i} $ は $X$ で開集合である。
- [4]: 閉集合の交差 $\displaystyle \bigcap_{\alpha \in \forall} C_{\alpha}$ は $X$ で閉集合である。
- [5]: 閉集合の有限和集合 $\displaystyle \bigcup_{i = 1}^{n} C_{i}$ は $X$ で閉集合である。
[3]で有限という条件がなければ、$\displaystyle \bigcap_{n = 1}^{ \infty } \left( -{{1} \over {n}} , {{1} \over {n}} \right) = \left\{ 0 \right\}$ という反例が出せる。**[5]**で有限という条件がなければ、$\displaystyle \bigcup_{n = 1}^{ \infty } \left[ 0 , 1-{{1} \over {n}} \right] = [ 0 , 1 )$ という反例が出せる。
証明
[1]
このポストで紹介されている。
[2]~[5]
このポストで紹介されている。