実数軸上の特異点とジョルダンの補題を通じた広義積分
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全体的な流れはジョルダンの補題による異常積分と似ている。2つの多項式関数 p(z),q(z) に対し、f(z)=p(z)q(z) としよう。
p(z)=0 を満たす実数解 a が存在する場合、f は実数特異点 a を持つことになる。こうした場合をこれまで扱わなかった理由は、留数定理を使うためだった。もちろん、実軸上に特異点が追加されたからといって、留数定理を諦めるわけではなく、積分経路を曲げるトリックを使う。

上で示されたような単純閉路 C を考えると、特異点をγのような小さな半円で回避できる。半円は 0 を中心にする必要はなく、実数軸上に複数存在しても問題ない。ここで r→0 を取り小さな半円を引き締め、R→∞ を取れば、本来のように留数定理を使えるようになる。この方法を使うためには、以下のような補助定理を最初に証明する準備が必要だ。言葉は複雑だが、留数定理と似ていることがすぐにわかる。
補助定理
関数 f:C→C が特異点 a の近傍 0<∣z−a∣<r0 で解析的だとしよう。a に関する f のローラン展開の主要部に偶数の指数を持つ項がなく、γ が r0 より小さい正数 r を半径としa を中心とする半円 z(θ)−a=reiθ,0≤θ≤π であれば
r→0lim∫γf(z)dz=−iπResaf(z)
証明
仮定により
f(z)=m=0∑∞(z−a)2m+1b2m+1+n=0∑∞an(z−a)n
(z−a)=reiθ なので n=−1 の時
∫γ(z−a)ndz=−irn+1∫0πe(n+1)iθdθ=n+1rn+1(1+cosnπ)
したがって n≥0 または n<−1 となるが、n が奇数の場合
r→0lim∫γ(z−a)ndz=0
一方で n=−1 の場合を見ると
r→0lim∫γ(z−a)−1dz=r→0lim∫0π−idθ=−iπ
従って r→0lim∫γf(z)dz=−iπb1=−iπResαf(z)
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例題
例として、サインカン関数の異常積分 ∫0∞xsinxdx を求めてみよう。
解答
eiz=cosz+isinz なので、まずは ∫Czeizdz を考えるとよく、C は上で与えられた図のようだとしよう。すると
∫Czeizdz=∫Γzeizdz+∫−R−rxeixdx+∫γzeizdz+∫rRxeixdx
留数定理: 解析的な関数 f:A⊂C→C がSimple closed contour C 内部の有限な特異点 z1,z2,⋯,zmを持つとする。すると ∫Cf(z)dz=2πik=1∑mReszkf(z)
関数 f(z):=zeiz の特異点は z=0 だけであり、C の内部には特異点が存在しないので、留数定理によって
∫Czeizdz=0
つまり、
∫Γzeizdz+∫−R−rxeixdx+∫γzeizdz+∫rRxeixdx=0
単純極での留数: 関数 f を f(z)=h(z)g(z) と表せるとしよう。ここで g と h は α で解析的であり、g(α)=0,h(α)=0,h′(α)=0 であれば α は f の単純極で
‘Resαf(z)=h′(α)g(α)
Res0zeiz=1ei⋅0=1 なので
r→0lim∫γzeizdz=−iπRes0zeiz=−iπ
r→0 の時
∫Γzeizdz+∫−R0xeixdx−iπ+∫0Rxeixdx=0
まとめると
∫Γzeizdz+∫−RRxeixdx=iπ
ジョルダンの補題: 半円 Γ を z(θ)=Reiθ,0≤θ≤π と表した時、関数 f が Γ で連続であり z→∞limf(z)=0 ならば、正数 m∈R+ に対して
R→∞lim∫Γemizf(z)dz=0
ジョルダンの補題により R→∞lim∫Γzeizdz=0 であるので、
∫−∞∞xeixdx=iπ
を得る。もう一度、eiz=cosz+isinz なので
∫−∞∞xcosxdx+i∫−∞∞xsinxdx=iπ
ここで虚部だけを取ると
∫−∞∞xsinxdx=π
そして、サインカン関数は偶関数であるため
∫0∞xsinxdx=2π
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結論
変数変換を通して、a∈R に対して以下の式が成り立つことも簡単にわかる。
∫0∞xsinxdx=∫0∞xsin(ax)dx=2π
一見すると解答が長く複雑に見えるが、よく見ると実際の計算はそれほど多くない。複素解析を使わない方法を考えると、この方法が簡単で快適に感じるだろう。