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コンパクト作用素の同値条件 📂バナッハ空間

コンパクト作用素の同値条件

要旨1

$X$と$Y$をノルム空間とする。$T : X \to Y$を線形作用素とする。すると、以下の二つの命題は等価である。

  1. $T$はコンパクト作用素である。
  2. $T$は「$X$のすべての有界数列」を「収束する部分列を持つ$Y$の数列」に写像する。

証明

$1. \Longrightarrow 2.$

$T : X \to Y$をコンパクトと仮定する。

$\left\{ x_{n} \right\}$を有界数列とする。コンパクト作用素の定義により$\overline{\left\{ Tx_{n} \right\}}$はコンパクトであり、距離空間でのコンパクト性は数列コンパクト性と同等であるため、$\left\{ Tx_{n} \right\}$は収束する部分列を持つ。

数列コンパクト性

距離空間$X$が数列コンパクトsequentially compactであるとは、$X$のすべての数列$\left\{ x_{n} \right\}$が、$X$の点に収束する部分列$\left\{ x_{n_{k}} \right\}$を持つことを意味する。

$2. \Longrightarrow 1.$

すべての有界数列$\left\{ x_{n} \right\}$が、$\left\{ Tx_{n_{k}} \right\}$が$Y$で収束するような部分列$\left\{ x_{n_{k}} \right\}$を持つと仮定する。

任意の有界部分集合$B \subset X$と、$T(B)$の任意の数列$\left\{ y_{n} \right\}$を考える。すると、$B$が有界であるため、$x_{n} \in B$が存在し、$\left\{ x_{n} \right\}$は有界である。したがって、仮定により、$\left\{ Tx_{n} \right\}$は収束する部分列を持つ。$\left\{ y_{n} \right\} = \left\{ Tx_{n} \right\}$は$T(B)$の任意の数列であったので、$T(B)$の任意の数列は収束する部分列を持つ。これは、$T(B)$が数列コンパクト(=コンパクト)であることを意味する。しかし、初めに$B$は任意の有界集合であったため、$T$は任意の有界集合$B$をプリコンパクト集合に写像する結果を得る。したがって、$T$はコンパクト作用素である。

二つのコンパクト線形作用素$T_{1}$と$T_{2}$の和$T_{1} + T_{2}$はコンパクト作用素である。また、任意の定数$\alpha$に対して、$\alpha T_{1}$はコンパクト作用素である。

したがって、二つのノルム空間$X$から$Y$へのコンパクト線形作用素の集合はベクトル空間を成す。


  1. Erwin Kreyszig, Introductory Functional Analysis with Applications (1978), p ↩︎