曲線に沿った平行なベクトル場の性質
性質
$\mathbf{X}(t)$と$\mathbf{Y}(t)$を曲面$M$上の正則曲線$\alpha (t)$に沿って平行なベクトルフィールドだとしよう。すると$\mathbf{X}$の大きさ$\left\| \mathbf{X}(t) \right\|$と$\mathbf{X}(t), \mathbf{Y}(t)$の間の角度は一定である。
説明
つまり、角度と大きさが保持される。
証明
$f(t) = \left\langle \mathbf{X}(t), \mathbf{Y}(t) \right\rangle$としよう。$f$を微分してみると、内積の微分法により、以下のようになる。
$$ \dfrac{d f}{d t} = \left\langle \dfrac{d \mathbf{X}}{d t}, \mathbf{Y} \right\rangle + \left\langle \mathbf{X}, \dfrac{d \mathbf{Y}}{d t} \right\rangle = 0 + 0 = 0 $$
この時$\mathbf{X}(t), \mathbf{Y}(t)$は$M$の接ベクトルであり、$\dfrac{d \mathbf{X}}{d t}(t), \dfrac{d \mathbf{Y}}{d t}(t)$は定義により接ベクトルと直交するので、内積は$0$である。したがって$f(t)$は一定である。$\mathbf{Y}=\mathbf{X}$とすると$\left\| \mathbf{X}(t) \right\|$も一定である結果を得る。
今、$\mathbf{X}(t)$と$\mathbf{Y}(t)$の間の角度を$\theta$とすると、次を得る。
$$ \dfrac{f(t)}{\left\| \mathbf{X} (t) \right\| \left\| \mathbf{Y}(t) \right\|} = \cos \theta $$
この時、$f(t), \left\| \mathbf{X} (t) \right\|, \left\| \mathbf{Y}(t) \right\|$は共に一定であるので、$\cos \theta$も一定である。したがって、二つの間の角度は一定である。
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