すべてのn次元実ベクトル空間はR^nと同型である
定義1
$V$と$W$をベクトル空間と言う。可逆(全単射)な線形変換 $T : V \to W$が存在する場合、$V$と$W$は同型と言われる。$T$を同型写像という。
定理
すべての$n$次元実ベクトル空間は$\mathbb{R}^{n}$と同型である。
説明
定理を別の方法で表現すると、次のようになる。
「$\mathbb{R}$ベクトル空間$V$が$\mathbb{R}^{n}$と同型であること」は「$\dim{V}=n$であること」と同値である。
証明2
$V$を$n$次元実ベクトル空間としよう。以下を満たす一対一かつ上への線形変換$T$が存在することを示せば、証明が完了する。
$$ T : V \to \mathbb{R}^{n} $$
$S = \left\{ \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \dots, \mathbf{v}_{n} \right\}$を$V$の基底としよう。すると、すべての$\mathbf{v} \in V$に対して、次のような基底の線形組み合わせの一意的な表現が存在する。
$$ \mathbf{v} = k_{1}\mathbf{v}_{1} + k_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + k_{n}\mathbf{v}_{n},\quad k_{i}\in \mathbb{R} $$
それでは、変換$T$を次のように定義しよう。
$$ T(\mathbf{v}) = (k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}) $$
Part 1. $T$は線形である
$\mathbf{v}, \mathbf{u} \in V$が次のように表されるとしよう。
$$ \begin{equation} \mathbf{v}=k_{1}\mathbf{v}_{1} + k_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + k_{n}\mathbf{v}_{n} \quad \text{and} \quad \mathbf{u}=d_{1}\mathbf{v}_{1} + d_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + d_{n}\mathbf{v}_{n} \end{equation} $$
そして、それを$c\in \mathbb{R}$と呼ぼう。そのため、次により$T$は線形である。
$$ \begin{align*} T(\mathbf{v} + c\mathbf{u}) &= T\left( (k_{1}+ cd_{1})\mathbf{v}_{1} + (k_{2}+cd_{2})\mathbf{v}_{2} + \cdots + (k_{n}+cd_{n})\mathbf{v}_{n} \right) \\ &= \left( k_{1}+ cd_{1}, k_{2}+cd_{2}, \dots, k_{n}+cd_{n}\right) \\ &= \left( k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}\right) + c\left(d_{1}, d_{2}, \dots, d_{n}\right) \\ &= T(\mathbf{v}) + cT(\mathbf{u}) \end{align*} $$
Part 2. $T$は一対一である。
もし$\mathbf{v}, \mathbf{u}$が$(1)$を満たし、それを$\mathbf{v} \ne \mathbf{u}$と呼ぼう。すると、少なくとも一つの$i$に対して、$k_{i}\ne d_{i}$でなければならない。したがって、
$$ \left( k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}\right) = T(\mathbf{v}) \ne T(\mathbf{u}) = \left(d_{1}, d_{2}, \dots, d_{n}\right) $$
Part 3. $T$は上へのものである
それを$\mathbf{x} = (x_{1}, x_{2}, \dots, x_{n})\in \mathbb{R}^{n}$と呼ぼう。すると、$V$は$\mathbf{v}_{i}$の全ての線形組み合わせの集合であるため、次を満たす$\mathbf{v} \in V$が存在する。
$$ \mathbf{v} = x_{1}\mathbf{v}_{1} + x_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + x_{n}\mathbf{v}_{n} $$
したがって、すべての$T$は上へのものである。
同じく見る
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