可逆線型変換の空間の性質
📂線形代数可逆線型変換の空間の性質
定理
Ωのすべての可逆線形変換の集合を考えよう。
Ω={all invertible linear operator on Rn}
(a) T1∈ΩとT2∈L(Rn)に対して、次が成り立つならば、T2∈Ωである。
∥T2−T1∥∥T1−1∥<1
ここで、∥T∥は線形変換のノルムである。
(b) h>0に対して、以下が成り立つ:
∥T−1∥≤h1⟺∥Tx∥≥h∣x∣∀x
(c) Ωは開集合である。
(d) 以下のように与えられたf:Ω→Ωは連続である:
f(T)=T−1
証明
(a)
T1∈ΩとT2∈L(Rn)に対して、次が成り立つとする。
∥T2−T1∥∥T1−1∥<1
∥T1−1∥=α1,∥T2−T1∥=βとしよう。すると、仮定によってβ<αが成り立つ。線形変換のノルムの性質により、すべてのx∈Rnに対して、以下が成り立つ。
α∣x∣=α∣T1−1(T1(x))∣≤α∥T1−1∥∣T1(x)∣=αα1∣T1(x)∣=∣T1(x)∣=∣T1(x)−T2(x)+T2(x)∣≤∣T1(x)−T2(x)∣+∣T2(x)∣≤∥T1−T2∥∣x∣+∣T2(x)∣=β∣x∣+∣T2(x)∣
したがって、以下を得る:
(α−β)∣x∣≤∣T2(x)∣,∀x∈Rn
この時、α−β>0であるから、以下が成り立つ。
x=0⟹T2(x)=0
これは線形変換が単射であるための同値条件であるため、T2は単射であり、したがって可逆変換である。
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∥T−1∥≤h1⟺∥Tx∥≥h∣x∣∀x(b)
(⟹)
∥T−1∥≤h1とする。そうすると、
⟹⟹⟹⟹∥T−1∥h∥T−1∥h∥T−1∥∣Tx∣h∣T−1Tx∣≤h∥T−1∥∣Tx∣h∣x∣≤h1≤1≤∣Tx∣≤∣Tx∣≤∣Tx∣
(⟸)
⟹⟹∣Tx∣∥T∥∣Tx∣∥T−1∥∣Tx∣∥T−1∥∣Tx∣≥h∣x∣≥h∣x∣≥h∥T−1∥∣x∣≥h∥T−1∥∣x∣
(c)
(a) によると、以下を満たすすべてのT2∈L(Rn)はT2∈Ωである。
d(T1,T2)=∥T1−T2∥<α
したがって、すべてのT1∈ΩはΩの部分集合となる近傍を持つため、内点である。Ωのすべての要素が内点であるため、Ωは開集合である。
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(d)
合成を以下のように簡潔に表記しよう。
T2∘T1=T2T1
(1)をx=T2−1(y)に置換しよう。
⟹(α−β)∣T2−1(y)∣∣T2−1(y)∣≤∣T2(T2−1(y))∣=∣y∣,∀y∈Rn≤α−β1∣y∣
すると、線形変換のノルムの性質によって、以下が成り立つ。
∥T2−1∥≤α−β1
さらに、以下が成り立つ。
T2−1−T1−1=T2−1(T1−T2)T1−1
すると、積のノルムはノルムの積より大きいため、以下が成り立つ。
∥T2−1−T1−1∥≤∥T2−1∥∥T1−T2∥∥T1−1∥≤α(α−β)β
だから、d(T1,T2)=∥T2−T1∥=β→0の時、d(T1−1,T2−1)=∥T2−1−T1−1∥→0であるので、T↦T−1の写像は連続である。
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