正則行列であるための同値条件
定理1
$A$を大きさ$n\times n$の正方行列とする。すると、下記の命題は全て同値である。
(a) $A$は可逆行列である。
(b) 同次線形システム $A\mathbf{x}=\mathbf{0}$は唯一の自明な解を持つ。
(d) $A$は基本行列の積で表せる。
(e) $A\mathbf{x}=\mathbf{b}$は全ての $n\times 1$行列$\mathbf{b}$に対して解を持つ。
(f) $A\mathbf{x}=\mathbf{b}$は全ての $n\times 1$行列$\mathbf{b}$に対してただ1つの解を持つ。すなわち$\mathbf{x}=A^{-1}\mathbf{b}$が成立する。
(g) $\det (A) \ne 0$
(h) $A$の列ベクトルは線形独立である。
(i) $A$の行ベクトルは線形独立である。
(j) $A$の列ベクトルは$\mathbb{R}^{n}$を生成する。
(k) $A$の行ベクトルは$\mathbb{R}^{n}$を生成する。
(l) $A$の列ベクトルは$\mathbb{R}^{n}$の基底である。
(m) $A$の行ベクトルは$\mathbb{R}^{n}$の基底である。
(n) $A$のランクは$n$である。
(o) $A$の無効次元は$0$である。
(p) $A$の零空間の直交補空間は$\mathbb{R}^{n}$である。
(q) $A$の行空間の直交補空間は$\left\{ \mathbf{0} \right\}$である。
(r) $A$の固有値に$0$は存在しない。
(s) $A^{T}A$は可逆である。
(t) $T_{A}$の核は$\left\{ \mathbf{0} \right\}$である。
(u) $T_{A}$の値域は$\mathbb{R}^{n}$である。
(v) $T_{A}$は単射である。
証明
(a) $\iff$ (b) $\iff$ (c) $\iff$ (d)
(a) $\iff$ (e) $\iff$ (f)
Howard Anton, 初等線形代数 アプリケーションバージョン (12版, 2019), p463 ↩︎