正定値行列の逆行列と平方根行列
📂行列代数正定値行列の逆行列と平方根行列
公式
正定値行列 A の 固有対 {(λk,ek)}k=1n が λ1>⋯>λn>0 の順に整列されているとしよう。直交行列 P=[e1⋯en]∈Rn×n と 対角行列 Λ=diag(λ1,⋯,λn) について、A の 逆行列 A−1 と 平方根行列 A は次の通りだ。
A−1=A=PΛ−1PT=k=1∑nλk1ekekTPΛPT=k=1∑nλkekekT
導出
スペクトル分解:
スペクトル理論: A が エルミート行列であり、ユニタリ対角化可能であることは同等だ:
A=A∗⟺A=QΛQ∗
特に 統計学において、共分散行列は多くの場合 正定値行列であり、正定値行列はエルミート行列だ。共分散行列だけでなく、デザインマトリックス X に対しても、XTX は 対称行列、特に X∈Rm×n ならばまた エルミート行列になる。これらの条件のもとで、A はスペクトル理論により、正規直交 固有ベクトル e1,⋯,en からなる Q を得ることができ、再度記述すると次の通りだ。
=====AQΛQ∗Qλ10⋮00λ2⋮0⋯⋯⋱⋯00⋮λne1∗e2∗⋮en∗[e1e2⋯en]λ1e1∗λ2e2∗⋮λnen∗λ1e1e1∗+λ2e2e2∗+⋯+λnenen∗k=1∑nλkekek∗
Λ が対角行列であるため、特に導出するものはない。P が直交行列であるため、
A−1===(PΛPT)−1P−TΛ−1P−1PΛ−1PT
そして、単位行列 I に関して次のような検算で A を得る。
=====(PΛPT)(PΛPT)PΛPTPΛPTPΛIΛPTPΛΛPTPΛPTA
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